Archive for December 2010

01 December

<Natalis News>より   反抗期! 話し合い、約束し、本気で叱る

 我が子が急に反抗的になった!今まさにそう感じて困り果てていらっしゃる方も多いことでしょう。(実はつい最近も、立て続けに全く違う年齢のお子様のことについて相談を受けたところです。)しかし、これはご存知の通り子育ての長い道のりの間に何度もやってくる、ごく普通の、というよりも絶対に必要な通過点なのです。
 1歳を過ぎて、子どもがどんどん歩けるようになった頃に最初の逃走・脱走の狂想曲が始まります。2歳過ぎから言葉でのコミュニケーションが進んでくると、典型的な「イヤ、イヤ」の季節の到来です。少し安定してきたと思うまもなく、3〜4歳で初めてこの世のルールというものに、今度はできたての自我をぶつけて反抗ののろしをあげます。そんなこんなで、思春期の始めまで(つまり本当に親を相手にしなくなるまで!)様々なやり方で親を困らせてくれるのが広い意味での反抗期です。(※年齢には個人差があります。)
 初期の反抗期は、育児書等にもあるように、成長の過程の重要な儀式です。自らが成長し自分でできる範囲が広がると、その力を試し誇示したいと同時に、親の庇護もまだ確認しておきたいという背反した衝動に突き動かされ、あえて過激な行動で反応を確かめようとします。「ほら、ひとりでこんなこともできるよ」という喜びと、「どんどん離れていく自分をお母さんは見ていてくれるだろうか、追いかけて来てちゃんと捕まえてくれるだろうか」という不安が入り交じったなんともエキサイティングな日々なのでしょう。その先は、自我対ルール(=親)や自己対他者(=社会)といったスケールへと拡大されていきますが、対処する際の基本的な態度は同じであるべきです。
 反抗的な態度でも、おおらかに受けとめたり、受け流してやることがよい場合もたくさんあります。しかし、限度を超えたときにはいつも同じように毅然として一つの原則に沿って対応しましょう。まず、普段からしっかりと話し合うこと。たとえ1歳児であっても言葉でしっかり伝えることがその先のコミュニケーションの土台をつくることにつながります。次に、納得したら約束すること。(本当には理解できないことがあっても仕方がありません。その時は「うちの子ならこれは絶対に守るの!」でよいのです。)そして、できたらしっかりほめ、約束をやぶったときは、本気で叱ること。これを何度でも、原則を曲げず、基準を変えずに我慢強く繰り返しましょう。
 最近は厳しく真剣に子どもを叱る場面に遭遇することが少なくなって来ていて心配です。今がその時だと思ったら、まっすぐに対峙して目を離さず(必要なら両肩を押さえてでも)、強い声で、しかし感情に流れない冷静な調子で、全身全霊を込めて叱りましょう。理由やルールについてわかりやすく説明を加えることも大切です。何より、「一人の人間の先輩としてこの私自身が許さないのだ」という思いを目の前の既に立派な「他者」である我が子にぶつける気魄が肝心です。これは親にしかできない、一生の宝物になるプレゼントだと思ってください。
 そのような、1歳児でも、受験を前にして一向にやる気に火がつかない中学生であっても、人間対人間の密度の濃いぶつかり合いの格闘こそ、子育ての醍醐味とも言えるかもしれません。そしてその時に決して忘れてはならないのが、我が子の『将来のあるべき姿』のヴィジョンです。それは「志」と言い換えてもよいでしょう。問われているのは、親の志でもあります。常にそこから現在を考える習慣を保ちたいものです。

05:16:22 | natalis | |