Archive for March 2011

04 March

「早くから英語を学ばせることの意味は?」にお答えして

 当学院には0〜1歳からのクラス設定があり、実際、最も早かった生後2ヶ月目の方は例外としても5,6ヶ月目位から始められた方もかなりの数になります。この0歳からの設定には明確な理由があります。それは、言語(母語)の獲得に向けて赤ちゃんの認知能力が日に日に高まるこの時期に、別の言語である英語でも適切なかかわりの中でよい経験を持つことが、全体的な言語能力の発達に良い影響を与えることがわかっているからです。

 ことばの獲得と聞けば、1歳前後のしゃべり始めの時期を思い浮かべられるかもしれませんが、それより何ヶ月も前、誕生後ただ寝ているだけのように見える時期から、赤ちゃんはただ受け身で外部の刺激に反応するだけではありません。自分のすべてをまかせる養育者(ここでは代表例として母親とします)の声や匂い、抱き方などを他のものから峻別し、また同時に、自分が成長していくのに必要な働きかけを引き出す行動までとっているのです。

 例えば、発達心理学で言う「クーイング」という行動があります。生後6〜8週間頃に赤ちゃんが発するようになる「アー」とか「クー」とかいうあの可愛い声のことです。これは授乳の間に気持ち良く揺らしてもらうことを求めていたり、その後には自分の言葉に反応して何かを語りかけてくれるように母親を促していたりという、(本人は意識していないにしても)目的を持った行動なのだと考えられています。そうして、自分にたっぷりと言葉をかけてもらって、様々な音声や音節(音の区切り)、イントネーションや意味・意図など、膨大なデータを蓄積してやがてことばが理解できるようになっていくのです。このように、赤ちゃんでも母親との相互作用のなかで能動的に働きかけることまでして自分に必要な刺激を導き出し、それを学んでことばを獲得していくのです。

 また、もう少し大きくなって生後10ヶ月前後になると、何かをじっと見つめながら、さらには指を差しすなどしながら母親の注意を喚起し、同時に声を出すような行動をする(発達心理学では「共同注意」と呼ばれます)ようになります。これは言葉を話すための準備活動とも言えるものです。一緒に同じものに注意を向けてそれを確認したり、多くは母親から言葉を引き出してそれを覚えていくように機能しています。まだ短い集中力しか持てない幼児が、今ここで見ているものに言葉をそえてもらうことで、言語を獲得していくわけです。ですから、子どもの注意に合わせたり、注意を向けさせるようにしながら、短い的確な言葉で意味のあるやりとりをすることが言語の発達には非常に重要な働きかけとなります。

 このような、例えば発達心理学の科学的な知見をもとに、より良い環境と働きかけを追求すれば、それは母語だけでなく外国語である英語の習得にも効果的に作用します。ただ一方的・強制的に覚え込ませるのではなく、自然な発達にそって無理なく成長を促すことができるのです。当学院の0−1歳児クラスのレッスンでは、講師はクラス全体で楽しく英語に触れられるように進めながら、同時に一人ひとりの「注意」の状態を把握し、ちょうどそれに合うような語りかけややりとりを行います。そのようなレッスンに継続して参加していただければ、少し意識的に子どもに働きかける方法を、楽しみながら自然に身につけていただけることでしょう。それをご家庭でも応用していただければ、お子様の日本語と英語の両方の発達に大きな弾みをもたらしてくれるはずです。

 上記はほんの一面に過ぎませんが、発達心理学に限らず、近年の脳科学の目覚ましい成果など様々な知見も取り込みながら、長年にわたる多数の指導経験という“秘伝のソース”をもとに具体的な指導プログラムが改良されていきます。0歳には0歳の、また3歳、5歳と発達段階に合わせた方法があり、そのすべてが一つの人間観、人間の発達観とでもいうものに沿っていることが重要なポイントです。目の前の我が子の成長と発達を長い目でみて最良の“今”の働きかけを方法化すること。ぶれない目標を設定し、「この子」の将来像を見通して学習を計画すること。この点で保護者の皆様と共通理解ができていれば、どの年齢からであっても少ない負担で最大限に伸ばしていけると確信しています。
 皆様のご参加を心よりお待ちしています。

23:03:00 | natalis | |

03 March

英検速報・第3弾! 小3で3級合格

 2次試験の合格の報の第一号は、3級(中学修了相当)に合格した小3のYさんからでした。
 帰国生でもないYさんは、小1での5級合格以降も素晴らしい力の伸びを見せてくれていました。レッスンはネイティヴ講師との時間も半分は取って会話練習を重視して進めてきましたので、はじめての二次の面接試験も易し過ぎるほどでした。あえて長文がきちんと読める力にこだわって進み方を抑えてきたほどなので、中学英語までの基礎固めが完全にできあがったここから先は、高度な英文が読める読解力を一気に伸ばしていくことになります。もちろん、さらに会話力も自分でどんどん英文を作って言いたいことを話すレベルで磨いていきます。

 週1回50分の授業の中に日本人講師とネイティヴ講師の時間を両方とりながら、わずかな宿題だけでここまでの進度を実現できているYさんの例は、中学入試も検討されている多くの方に希望を与えてくれるものです。当学院は、最少の努力で最大限の成果をめざしこれからも追求して参ります。
23:46:00 | natalis | |

01 March

<Natalis News>より  美しい「覚悟」... を

 弥生三月と聞けば、早、桜のイメージが浮かんでくるのはこの国で生まれ育った者の習いでしょうか。寒さがぶり返して来ても三寒四温は慣れたもので、4月からのまた新たな一歩のために様々に準備を進められていることと思います。進級進学といった大きな節目のない年齢のお子様でも、春の到来にあわせて新たな挑戦へのつぼみをどんどんふくらませていらっしゃることでしょう。
 さて、挑戦や出発、あるいは船出といった言葉がふさわしいこの季節にこそお伝えしたいのは、「覚悟」の二文字です。覚悟は辞書的には「よくない事態を予測して心の準備をすること」です。しかし、最近あまり感じられなくなったものの、私たちは確かにこの言葉にある種の美意識をこめて使ってきました。危機に陥ったときに「覚悟を決める」という使い方ではなく、何かをはじめようとするその時に、強い決意を持ちある種の絶対に譲れないものを意識し悟った凛とした心の状態として。子育ての、子どもとのつきあいの長い道のりにおいてもこの境地に達することが必要な時があると思います。
 もちろん、親なら誰でも自分の命に代えても我が子を守ろうと思っているものです。では、我が子のしつけや教育においては、どうでしょう。

 我が子であるなら、最低限《     》でなければならない。そのためには、《       》。

 子どもの自然な欲求は、社会のルールと人の道を身につけ、現代社会で自立して生きていくためには、かなえたり許してやれず、ときには矯める必要のある場合もあります。してはいけないことがわかり欲求を抑えるレベルから、何かができる人、何かを持った人になるために、長大な時間と労力をかけて“人間”をつくりあげる段階へと成長していかなければなりません。目標が高ければ高いほど、要求される水準も高くなります。そして、間違いなくある年齢までは、親がすべてを背負ってその厳しさを全うしなければならないのです。
 例を挙げようとすれば、およそあらゆる場面が考えられます。「ごめんなさい」が言えるまで、どんなに時間が経っても許さないで見据えているその時。どんなに疲れていても、友だちが待っていても、決めたことはやらせる毎日の戦い。「周りの子はみんな持っている、一人だけ仲間に入れない」と泣いても、絶対に○○は買わないと繰り返す時。自分から願い出て始めたことは目標を達するまではやめないという約束を思い出させる時、あるいは、何が今最も大切なことかを考えさせて、辛い結論でも受け入れるように導かなければならない時。.....
 親の「覚悟」には、それを厳しく実践しようとすればするほど子どもにはわかってもらえないという苦しさも伴います。それでも、社会に対する使命感と、これまで生きてきた自分自身の生き様をのすべてをこめるからこそ、この覚悟は厳しく徹底されるほど美しいのです。この時期、子どもがまた一段と広い世界に踏み出そうとする時にこそ、私たち親もまた背筋を伸ばして、「覚悟」を新たにすべきではないでしょうか。

00:03:00 | natalis | |