Archive for April 2011

01 April

<Natalis News>より 遙かに続く道を見つめ 毎日のことを粛々と

 東日本大震災で被災された皆様、関係者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 当学院の生徒さんの中にも、ご親族の方が被災された方がいらっしゃいます。なんとか避難所で再会された方、半壊した家の片づけを手伝いに行かれた方々などのお話をお聞きしていますと、津波被害の中心地でなくとも、この災害がいかに大きな爪痕を残したかが伝わってきます。一日も早い復興を祈りながら、こちらでもできる限りのことをして参りたいと思います。

 津波でほとんどの家が流されて茫漠たる原野となった「かつて町だった場所」の写真をみて、多くの人が終戦時の東京や大阪、あるいは、広島の写真を思い出されたようです。確かに私たちは、同じように町全体が破壊された光景を知っていました。私たちの父母や祖父母の世代の人たちは、文字通り今日の糧にも事欠く日々を懸命に生き抜き、現代の繁栄を築いてきました。あの焦土と化した写真の東京から高層ビルの林立する現代の大都市ができるまでに、どれだけ長く苦しい営みが積み重ねられてきたことでしょう。そして、この国に生きていた皆が一日一日をなんとかしのぐ生活をしながらも、子どもを育ててきたのです。桜咲く新学期を迎える今、そのことを思わずにはいられません。そうして私たちがここに居り、我が子がいることの幸いをかみしめたいと思います。
 「子どもは“未来”です!」と、このNatalis News 第1号に記しました(ご入会時に、最新の講師紹介を掲載してお渡しています)。今、バトンは私たちの手の中にあります。被災地の復興だけでなく、予測される経済の大きな停滞、原発の処理とエネルギー政策が社会生活に及ぼす影響、さらに、危惧の通りに露呈した政府の指導力の問題から、東電のような古い体質の巨大企業がこの国の生命線を握っている現状等々、津波が作り出したがれきの山に重なって暗澹たる課題が晒されています。それでも、今度は私たちの“番”なのです。これから来るであろう長い坂道をただ粛々と、日々のことを大事に怠りなく歩んで行きたいと思います。
 こんなときだからこそ、子どもたちに今日一日の努力の大切さ、毎日積み重ねていくことの尊さを身をもって教えていかなければなりません。時代の相が大きく変化しても、人として大切なことは変わりないはずです。そうして、私たちの人間性や国民性と呼ばれる価値を育んできたのです。いつか我が子へ、そしてその先の世代へとこの手のバトンを希望の未来とともに託せるように、今日のひとつ一つのことを親子で確実にこなしていきたいものです。

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 地震後に体調の不良が続いたり、気分がふさいだり甘えるようになったりという変化が子どもに起きているケースが聞かれます。年齢や状況にもよりますが、スキンシップを増やすとか、災害のことも含めて、いつも以上に時間をとってしっかりお話をすることが大切です。そして何より重要なことは、毎日の生活習慣を崩さないことです。ここでも日々のことをきちんと行うことが活力の源となるのです。新入学/入園のお子様は特にその点に気をつけてあげてください。

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