Archive for August 2013

01 August

<Natalis Newsより> 我が子にあわせて 英検をどう活用するか

 6月に実施された英検第一回の結果が届き、今回もたくさんのうれしい報告がもたらされました。順調に5級(中1終了相当)に合格した小3生たちから、中1で準2級、中3で2級
(高校修了相当)合格など高学年や中学生まで、みんながんばってくれました。合格はやはりうれしいもので、特に英文で書かれた認定証が手元に届くと実感もわいて、すぐ次の級への
チャレンジを口にするほど「ヤル気」を起こさせてくれます。今回は、英検をどう位置付け、どう活用すればよいのかをまとめておきましょう。
 【幼児期】幼児・小学生向けに「児童英検」や「国連英検」などのリスニング・テストが実施されていますが、当学院の生徒さんたちには必要ありませんとお話ししています。低学年で中学生向けに作られた、いわゆる「英検」を受験すると、半分を占めるリスニング部分は全く教えることなく満点に近い点数を取ってくれます。幼児期では集中力やその場への適応力など英語以外の力の要素が大きくなりますし、意義を理解した本当の意味での動機付けにもなりにくいので本人への負担を考慮するとお勧めできないのです。簡単に言えば、「易しすぎるのでムダ!」ということです。
 では、その英検5級を幼児期にめざすのはどうでしょうか。こちらもお勧めできません。英語が文単位で読めるだけでなく、自分で文が作れる力をつけずに合格させても意味がないのです。それは一般的には小学2、3年生以降で概念の操作ができるようになってはじめて可能になる力なのです。感覚的にだいたいできる位なら可能かもしれませんが、次の段階に自然につながっていくようにするためには、理解して意識的に使えるレベルの習得が必要です。中1終了相当とはいえ、身につけるべき英語力からみれば基礎の基礎という段階なので、早さを競うよりもきちんとした「土台」の力をつけておくことの方が大事です。
 【小学低〜中学年期】当学院の小学生クラスの授業は、少人数で意味のあるコミュニケーションを重ねながらたくさんの単語や表現を身につけることと同時に、低学年でもわかるように時間をかけながら文の構造にも意識が向かうように設計されています。現在形での基本構文が出そろったところで、それを自力で作れるようにし、また平行して英文だけで正しく読める力も身につけ、さらに基本語彙が聞いても読んでも理解はできる程度にまで身につけることができれば、それが英検5級で想定している実力です。ネイティヴ講師と日本人講師が丁寧に指導していくので低学年でも楽に到達することができます。ただし、毎週の1、2枚の宿題で復習をする習慣をつくり、まとめの学習にはいる頃には、「英文がきちんと読めるようにする」「重要語彙は自在に言えるくらいまで覚える」といったことが必要です。そのような集約的な学習の習慣や経験が少ない場合は、十分な時間をかければよいので、焦る必要はありません。また、これはあらゆる学習に共通する基本なので、英検のためのまとめ学習を通じてその基本=勉強力を養い磨ければ有利です。英検5級には、このような目標と意識をもって臨むべきで、そうすれば次の段階でも順調な伸びが約束できます。
 【小学高学年期】中学受験の有無で事情が大きく変わってきます。受験をされる方は、最低でも英検4級レベルまでの、現在・過去・未来と助動詞という基本時制の表現を身につけ、まとまった文章が正確に読める力まではつけておきましょう。中学入学後には英語が最も差がつくのですから、特に私立の進み方は速いので余裕を持って対応できるスタートが切れるだけの貯金をしておきたいものです。受験のために1年以上英語学習が出来ない期間ができても、長い文章が読めるだけの力があれば、時々音読をする位でかなり維持することができます。
 受験しない人は、英検3級合格、つまり中学校の全内容を終えるところまで進むこともできるのですが、英検はマークシート式なので、中学校以降の自分でスペリングまで書いて答えるテストに対応するために、4級合格以降は中学生型のやり方に移行することもお考えいただきたいと思います。この方法ですと一時的に進度が遅くなりますが、その先ずっと必要になる力を身につけながら進むことができます。英検は力試しとして準備せずに受ける、という程度の位置付けになりますが、少なくとも中学生以降はそうなるのですから、最近では高学年の方にはこちらを推奨しています。
 【中学生〜】中学生も学校で必要といった場合以外は、英検を目標にはせずあくまで客観的なチェックとして使う方が合理的です。ただし、リスニングや会話的な表現などはよくまとめられているので、通常の学習では抜け落ちがちの部分を補強するために早め早めにチャレンジするのも意義のあることです。また、3級以上の二次の面接試験はネイティヴ講師とのコミュニケーション学習の経験が少ない人にはそれなりの機会となるでしょう。
 高校受験をされる方は、中3であまり準備せずに(力試しとして)受けて英検2級(高校修了相当)が合格できる実力をつけておけば、私立有力校などの合格の目安になります。私立高校の試験には高校の文法内容を含む難しい長文が複数出されるのが普通なので、上位校を受ける方は、そのくらいの力は必要なのです。英検は目標にせず学習の確認のために受けるという点から、準2級までしか受験しなかったとしても問題はありませんが。準2級や2級の各種教材に載っている単語と熟語は、高校受験準備としても有効であるということを付け加えておきましょう。

15:01:55 | natalis | |