Archive for October 2016

01 October

<Natalis News>より 記憶研究の最前線から 〜まずは中高生や英検受験生に“覚えられる教材&学習法”を〜

 教育という実践を常により良いものにしていくためにできるかぎり進展を見守り追いかけるようにしている科学分野のうち、脳科学の進歩を背景にした認知と発達の心理学は、今たいへんexcitingで刺激に満ちています。たとえば、脳の中でどのようにして意識が形成されるのか、意識とは何かを考えることは、そのまま乳幼児の言語獲得と「こころ」が生まれ知能がかたちづくられる過程を知ることにもつながります。もちろん、科学的に証明された画期的な発明が人々の生活を変えるというようなことは数十年単位のパラダイムで見なければなりませんが、
最新の知見が人間観や学習観を変えるヒントになり、教材や教授法の改善に資するようにと、常に目配りを怠らぬようにと考えているのです。
 さて、その中で最近最も気になっている分野の1つが記憶に関連する研究です。なかでも、ワーキング・メモリ(WM=短期的な記憶とそれを活用して情報を処理するシステム)については、多くの方の知能指数(IQ)にもたれているイメージに取って代わる日も近いと思われます。実際、IQは昔から生徒の将来の学力や学業的達成を予測できるとは言い難いことは知られていましたが、WMでは、科学的に確かな予想がかなりの程度まで可能なのです(現在の発達検査等にも既に一部取り込まれています)。WM容量を伸ばす方法もいくつか提案されはじめていますが、まだまだ実験室内の段階です。しかし、詰め込み教育ではなく、頭を良くする方法を実践を通じて追求している者に取って、WMの仕組みの研究は啓示に満ちた宝箱で、幼児にも小中学生にも、また進んだ生徒にもどこかで進み辛くなっている生徒の指導にも重要なヒントを与えてくれます。
 また、WM以外でも、AI等に応用が進む認知科学の知見と長期記憶の記銘〜保持〜再生の研究成果を合わせて俯瞰すると、一人の生徒が新しいことを学び、理解して覚え、それを応用できるようにした上で、後にテストのようなかたちで再現して活用する、という一連の学習の場面で、改良できることは実にたくさんあることに気付かされます。実際に何人かの中学生に勉強のやり方を聞いてみますと、やはり非効率な方法でも「なんとなく」続けていることがわかります。また、周囲の大人が昔ながらの“常識”を自分の成功体験をよりどころに無批判に勧めていることも多いようです。しかし、もしも、「勉強するときはいつも同じ、静かで極力邪魔の入らない場所で」とか「とにかく、できるまで、1つのことに集中して繰り返しやること」といったアドバスでさえ間違いを含んでいるとしたら・・・。そこで、まずはわかりやすいテストという目先の目標を持っている中高生や英検を受けるレベル以上に到達した小学生から、オリジナルの教材と教授法を順次改善し始めています。ただし、より確かで大きな成果を上げるためには、学習の流れ全体をしっかり管理していく必要があります。特により低学年の場合には、ご家庭の補助も必要なときもあるかと思われますので、前もってご協力をお願いしておきたいと思います。また、上記WM等も含め詳細は(とてもここには書ききれませんので)どうぞお気軽にお尋ねください。

02:47:01 | natalis | |