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01 September

<Natalis News>より    ここから始める

 長い休みが終わって新学期となれば、気分も一新して気合も自ずと昂まるものですが、今年はどうもあまりすっきりしないという声が多く聞かれます。なかなか衰えない残暑のせいもあるのでしょうが、理由の一つには、連日報道される隣国との泥沼のような政治状況の影響もあるのかもしれません。
具体的内容はともかく、たった一国とですらお互いに話し合い理解を深めるための土台を構築し健全に維持していくという最も基盤となるべき作業さえ、いかに困難なことかを思い知らされています。まして、今世紀の世界を語る上では、「多様性」と「局地性」というキーワードは欠かすことはできません。 他のあらゆる国や地域、勢力と様々な次元で触れ合っていくことを考えると、壁を超え、相互理解を深め、その先の建設的な協働へと進むべき道の一本々々が遥かに遠く霞んでいくようにさえ感じられます。
しかし、その困難を超えたところにしか、一つの地球を生きる私たちの未来はないということは、大げさでも、きれいごとでもなく、すでにわかっていることです。
 さて、話を身近なところに引き戻しましょう。今年のこれまでの学院の事象なかで明るい兆しと言えることの一つに、海外留学が再び増えてきたという感触があります。(形態も様々なため)正確に比べられる数値の蓄積があるわけではありませんが、ひと頃減っていた海外志向が確かに高まり始めているようです。今春数件あったように進学先を直接海外にしたり、学校の行事以外でも短期留学に行かれた方が多くなっています。そして、何より大事なのは、帰ってきた彼らの様子のこれまでとの違いです。大学に入ってから4ヶ月コースで留学したAさんも、東京都の「次世代リーダー」企画に合格してその予行演習を兼ねて2週間のホームステイをしてきたBさんも、他の高校生だけでなく中学生たちでさえも、みんなが自分の英語とコミュニケーション力を客観的に捉え課題もきちんと言えるような、地に足のついた感想を語ってくれました。もちろん、将来のことも。まだ具体的ではないにしても、世界と向き合いかかわりを持っていくこと、それがどんなことであるかの最初の確かな感触を自らの起点にして、より広い視野で考え始めていることがはっきり伝わってきます。個人差というよりも、例えば10年前と比べて世界との距離感が変わってきていると思わせられるのです。
 相互理解の困難がどんなに大きく、道は遠くとも、ここにある希望も確かなものです。


00:01:00 | natalis | |
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