Archive for June 2009

01 June

<NATALIS Newsから> 【家庭内文化論】科学と歴史を語ろう!

 家庭内での“ことば”の重要性の話をいつも繰り返していますが、子どもが小学生以上になると話の内容も問題になってきます。学校の授業で何でも教えてくれるからと安心して、「勉強」としての教科学習以外に無関心でいると後で困ったことになる場合も多いのです。
 最近のお茶の水女子大とベネッセ教育研究開発センターの共同研究の報道では「(国語の)成績上位の子どもの保護者は本をよく読む」「下位の子の親が好むのはテレビのワイドショー」といった十年一日の内容が挙げられていましたが、皮相な研究も大手マスコミのお茶濁し姿勢も相変わらずです。本当に大事なのは、読まれる本の内容であり、語られる話題の程度であり深さです。難しいと思われるような事柄でもよく話題にされ、時には深く調べてみたり、大人同士が真剣な議論を戦わせたりといったことが、普通に行われるような‘風土’があるかどうか、一度我が家のことを振り返ってみる必要がありそうです。大人がもっている常識での単なるニュースや用語の解説ではまだ表層的で、もう一歩踏み込んで行けるかどうかが分かれ目ではないかと思います。時代を動かす原動力となっている思想やものの見方のパラダイム(=枠組み)があります。また、人類のめざすべき未来を考える時に絶対に知っていなければならない情報も常に更新されている必要があります。理想をいえばきりがないのですが、親もやはり勉強していなければならないということです。
 そこで、「実際にはどんな内容を?」ということになるのですが、ここでは先端の科学と歴史ということを挙げておきたいと思います。量子論の示す極小の世界と宇宙の在り様、遺伝子や脳科学から解明される人間の姿、あるいは、複雑系の考え方と人工知能などの応用領域、そして、学問としての生態学の描く新しい世界観、等々。大人世代が学校時代にほとんど習わなかったけれども、この世紀にわれわれがどこへ向かう(べき)かを考える時に不可欠な大きな知の領域があります。そこに、あらゆる知識の土台とも言うべき歴史を必須事項として加えたいと思います。テーマの選択には様々な意見があると思いますし、とても一度に扱えるものでは在りませんが、このような本当に重要な事柄を、例えば小学校の「調べ学習」のように手分けして調べてまとめ発表するというような学びの‘風土’を導入できないもでしょうか。もちろん、親が率先して行うことが出発点です。そういった家庭内環境が自然に子どもたちに与える影響こそ本質的で何物にも代え難いものなのです。まずは、明日本屋に行って手軽な新書本あたりから始めてみてはいかがでしょうか。

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