Archive for October 2009

01 October

<Natalis News>より 英語の原点=音声へ! 歌〜音読〜超速音読

 言語の本質は「音」です。これは、声を合図に使う様々な(進化の段階にある)動物を観察しても、赤ちゃんが音から言葉を獲得していくことからも明らかです。音の違いに意味をもたせ、それを組み合わせて精密な差異の体系を作り上げたことで、人類の知能は“ヒト”の段階にまで発達を遂げたわけです。さらに、文字という記号をそれにあてはめて、情報を保存したり脳の外部で操作や加工ができるようになって、飛躍的に文明を進歩させたことは周知の通りです。現代のように、知能の活動領域や情報の内容が高度になってくると、特に文字を通じた言語操作活動が重要になり、同時により難しくなっています。それが、読解とか作文といった学習課題で、まして外国語であれば尚更です。当欄でも、長く難解な文章を1回で正確に読み取れる力こそ必要とされる根幹の能力だと繰り返しお伝えしています。
 さて、今回は「それでも最後には、ことばは音声だ!」というお話です。初級段階で、日本語にない文法ルールがなかなか覚えられない時、いきなり自分のレベル以上の英語で話しかけられて返事をしなければならない時、あるいは大事なテストで並び替えや作文の問題が難しくて追い込まれた時、そんな時に助けになるのは、やはり“音”(音声)だと確信を持って言い切れます。
 発達心理学では、生後数ヶ月の赤ちゃんが養育者である母親の声(一般に普段より高めで短く区切って話しかけます)を聞き分け反応しようとすることが知られています。自分を守り育ててくれる人の声を聞き分け、必要な意思表示ができるようになることはそのまま生死を分けるほどの最優先事項なのです。音声やリズムを好み、自ら同期させる(合わせようとする)こともこの時期には始まります。そして、例えば、10ヶ月前後の言葉を話す前の時期には、指差しをして自分の見ているものに母親の注意を向け、あたかも覚えるために言葉を引き出そうとするかのような行動さえし始めます。また、その後言葉を話しはじめてからの、1回聞いただけですぐに覚えてしまうほどの記憶の素晴らしい時期などをみても、(音声としての)言葉を身につけることは、生存のための要件としてもっとも深い根源的な部分にプログラムされているかのようです。
 英語の学習においても、子どもたちの力のつき方を長年観察していると、音声としてしっかり身につけてきた生徒たちには「深いところでの感覚」とでも呼びたくなる能力が感じられます。かれらは、先述のような追い込まれた場面で、「よくわからなかったけどそんな音だった気がする」とか「なんか聞こえてきたんだ」などと言って非常に高い精度で正解を導き出します。当学院で英検受験者にリスニングをほとんど全く教える必要がないのも同様のことです。母語ではない、つまり学習対象である英語なら、音を意識的に、かつ、できるだけ自然なかたちで身につけておくことが大切なのです。
 今月からは、幼児クラスでは、英語の歌をもっと取り上げご家庭でも一緒に歌っていただけるように工夫していきます。就園児クラスではしっかり声に出して繰り返すことを意識しましょう。小学生以上は、なんといっても音読です。これまでもかなり力を入れてきましたが、ぜひ宿題も必ず何回も音読するようにご協力をお願いします。高学年から中高生で長文を学習している生徒たちは、超速音読メソッドを徹底して鍛え上げていきます。この方法はリスニングだけでなくスピーキング力にも大きな効力を発揮しますので、ご期待ください。

19:46:01 | natalis | |