Archive for May 2010

01 May

<Natalis News>より  英語が使えるようになるための国語力の伸ばし方

 いつも国語力の大切さについてお伝えしていますが、実際にはどのようにして力を伸ばしていけばいいのかという質問をよくいただきます。生まれたときからの言語環境他の個別的な要素が多いため具体策の詳細は一人ひとりにあわせて考える必要があります。(これは『家庭学習ガイド』でご提供できるようになりました。)しかし、大まかな目標なら、だいたい共通の、ひとつの目安となるかもしれません。
 <12歳=小学生のうちに大人の読む教養書が読めて自分の言葉で議論ができる>というのが前半の大目標です。まずはそこまでの途中経過を考えてみましょう。

(1)しゃべり出しの時期は関係ない/出てくる言葉よりどれだけ理解しているかに注意
●読み聞かせと言葉による語りかけを出来る限りたくさん行って、何でも言葉を通して伝え合うのだということを早く理解させます。ぐずるような時でも、話して聞かせれば待てるといった状態が目標になります。二語文/三語文で話そうとする姿勢が早く出てくれば良好です。
(2)幼稚園の間に、小1・2程度のお話が、しっかりした音読ができるように
●少なくとも年少からは文字の読みを始めますが、書く訓練は集中力や持続力の養成にも効果的なので早くからお絵描きなどで遊ぶ習慣をつけておきます。
●ひとり読みまでにはたいへん時間がかかるものと考えてください。一緒にまたは交互に読んだりして徐々に読めるようにしましょう。読めるようになってからもまだ読み聞かせは重要です。
●読んだ話の内容について話し合うことを忘れないで。ただし、内容理解はまだ不完全で感想も思いつきのようなものです。話の筋を確認し、あらすじが自分で言えるように導きます。
(3)小学低学年:少なくとも2学年先の教科書が読め/段落単位と全体の要約ができる力を
●あらすじから要約へと進めます。いきなり全体は難しいので段落単位から行います。そのとき、2、3年生なら小見出し作りで文の構成についても理解するようにしましょう。
●単なる漢字の書き取りから熟語の理解と使用を中心にしていきます。辞書引きも習慣化します。
●主語と述語に注意して、先に設計をした上で文章を書く練習をします。3年生の終わりには、原稿用紙3枚=1200字程度の構成のしっかりした文章が書けることを目標に。
(4)小学高学年:4、5年生で一気に読解レベルを高める/目的をもった要約・文法・語彙を
●難しい論説文でも読みこなせるためには、まず漢字と語彙の力が大前提となります。普段から新聞や説明的な文章を読む習慣をつけておく必要があります。家庭内でも話題を選びましょう。
●早い時期に中学レベルの国文法を一通り教え、指示語と接続詞は完全にしておきます。
●物語文の心情理解は最後に完成させます。人物の特徴や思い・考えを言動や描写から理解し自分の言葉でまとめられるようにします。

 中学高校で必要な国語力は<理解から批評へ>を目標に、<文と全体との往来による精密な読解と、作者の思想への到達=自分の言葉でのまとめ>を完成させることになります。特に、全体を意識した一つの文の読みや、語の選び方や論の構成にまで筆者の意図を読み取る力は、英文の理解にも直結するもので、大学入試2次試験の英語突破の鍵にもなります。英語の原典を精読で、日本語と対峙させながら読み込むことで両方に共通した最も深い部分の言語能力を伸ばすことができます。
(2010.5.1)
19:51:00 | natalis | |