Archive for 01 August 2010

01 August

<Natalis News>より 週に一度は、地図を片手に国際ニュースを!

 ここ数年の傾向として夏休みに海外へお出かけされる方が減っている印象があります。世界経済危機や新型インフルエンザなどの大きな要因もありますが、どうも「大きな魅力が感じられない」「国内の方が安全だし、何でもあるから」と
いった「なんとなく」の消極的ムードがあるようです。そう思っていたら、7月25日付の朝日新聞に、『内向きの学生』と題する社説が載っていました。その中で、ハーバード大学の例を挙げたあとで昨年の米国への留学生数が、インド・中国が約10万人、韓国7万人に対して、日本は3万人足らずだったとの数字があげられていました。さらに、少子化による競争のなかで大学が交換留学などの国際化を打ち出しているにもかかわらず希望者が伸びず、「あえて異文化の中に身を置いて冒険や苦労をしたがらない若者が増えている」という担当者の話を紹介し、「若者を海外に出して鍛えようという意識が、社会全体に薄いのではないか」と問いかけています。

 確かに大学3年になるかならないかのうちから就活に走り回らなければならない現状もありますが、国際競争に勝ち抜くしかない国の企業に就職しようとする学生が留学もできないというのは皮肉な話です。国家という単位でみれば、これは皮肉どころか深刻な危機そのものですし、人類全体の観点からしても高い潜在力を持った人財が狭い領域内に閉じこもってしまうのは大きな損失です。地球規模で全人類が協働して解決するしかない問題が山積しているこの時代に生まれそれを認識できる者の使命として、留学するかどうかは別にしても、せめて意識と知識だけでも世界標準に保つ努力を続けるべきでしょう。 
 そこで、幼児〜小学生の皆さんには、常に地図帳を手の届く場所に置き、それを開いて国際ニュースを見る習慣をつけることをお願いしたいと思います。思い出してみてください。W杯サッカーの対戦国がどこにあるか、一緒に地図で確認されましたでしょうか。最近海外で起こったことを話したときに、地図で正確に教えたり歴史にまで触れたりされたのは、いつの何についての話題だったでしょうか。常々お伝えしている「家庭内文化」が人づくりの原点という趣旨からも、もっと海外で起きていることを普通に話題にする雰囲気をつくっていただければと思います。

 英語学習の進んだ高学年から中高生なら、ぜひ英語放送(日本語字幕ありでよいのです)で、それも海外の放送局の制作したニュース/ドキュメンタリー番組
を見るようにしたいものです。同じ事件でも視点が替われば大きく違って語られるという事実にまず触れて、異文化理解の基本的な感覚を磨いてほしいものです。
インターネットがここまで普及した社会の、英語で直接に世界とコミュニケーションを行う際の土台を作り、同時にメディア・リテラシー(メディア情報をどう受け取りどう付き合っていくか)まで子どもに教えてくれるところは、この国ではまだどこにもないのです。なければ家庭の責任で自己防衛の教育を施すこと
これもいつもお伝えしている我が子の守り方です。

00:01:00 | natalis | |