Archive for May 2011

14 May

<Natalis News>より 相手の意図を感得するコミュニケーションの感覚を養成すること

 最近は、小学校への英語の正課導入もあり、英検や中学英語について話題にすることが多かったのですが、英語習得のための最も重要なポイントの一つを再確認しておきましょう。
 それは、相手が今何を言おうとしているのかを感じ取る能力を身につけることです。知識だけをどんなに積み上げても実際に目の前の人とコミュニケーションが十分にとれないのでは意味がありません。従来の日本の英語教育の欠陥として指摘されてきたことです。高度な知識を持っているのに、「英語を話せない、聞き取れない」という人が多いのは、多くの場合このコミュニケーション感覚に問題があるのです。
 生まれたばかりの赤ちゃんでも、まもなく母親との間で様々な「同期」を試み、コミュニケーションを確立しようとします。母親の言葉に体を一定の方法で動かして反応する、「う〜」「あ〜」といった喃語の調子を音響的に母親の語りかけに合わせて調整し、意味のある信号を送ろうとする、等です。それがやがて6ヶ月を過ぎ1歳になろうとする頃には、声や指差しなどの行動で自分が関心を持っているものに周囲の人の注意を巻き込もうとしはじめ、共同行為を成立させるようになります。親子が共通のものに同時に注意している場面こそ言語を習得するための最適の足場です。こうしてたくさんの語りかけを受けて、子どもの脳の中には多量の言語情報が蓄積され、やがてあふれ出すようにして発語へとつながっていくのです。
 自分を守り育ててくれる養育者の意図を理解(言葉の上での理解に達する前から、感覚的に了解)することは、乳幼児にとって生存にかかわる重大事です。目の前のものを口に入れてもよいのか、わるいのか、この人は自分の味方か、等々。言葉が徐々にわかり話せるようになってからも、相手の意図を即座に理解することはますます重要になります。2,3歳以降の反抗期には、少しずつ親から独立し離れていく自分を感じ、敢えて親をてこずらせて愛情を確認しようとします。表面的に叱られていても、本心としてどうなのかを感じ取ろうと一所懸命で、そんな毎日の繰り返しの中で知らないうちに言語能力と同時に意図を感じ取る力を高めているとも言えるでしょう。
 このようにして、赤ちゃんの時期から備わっている「相手の意図を理解する」というコミュニケーションの中核となる能力の伸長に即して、外国語である英語でも同じようにできる力を養成しておくことができれば、自然に少ない負担で実用的に英語を使う感覚を養うことができます。当学院の英語クラスは、0歳から始められ、幼児の間はネイティヴ講師が少人数の生徒を一人で担当し、小学生のクラスでも、もっと少ない人数でネイティヴ講師と話す時間を必ず設定しています。一方で知識を小学生でもわかるように順序立てて整理し、他方でコミュニケーションの土台となる感覚を養成し磨き続けるプログラムがあり、その全体が高いレベルまでつながるように緻密に設計してあるのです。知識だけでなく感覚も伴った将来役立つ本物の力をつけるという考え方を今後も追求し、さらに改善して参ります。

22:28:25 | natalis | |