Archive for 01 March 2014

01 March

<Natalis Newsより> 伝えていくもの

 思わぬ大雪の冬も少しずつ温み春の近づいてくるのが感じられるようになってきました。そして、教室にも、厳しい受験の道を戦い抜いた勇者たちの嬉しい報告の声や、懐かしい生徒さんからの復帰の話が聞かれ、一気に新しい季節がやってくるかのような暖かい風が吹いています。
 私立と国立の高校入試の結果報告は既に届いていて、今年も学芸大付属や早稲田(実業/高等学院)、そして、近年非常に伸びて注目されている豊島岡女子などのトップランクに合格した生徒たちは例年の先輩たちと同様の進度に到達していていました。例えば、早実の長くて難しい長文が多数出題される入試問題で、どの年の過去問をやっても90点位はとれるような力は、やはり一定量以上の英文を精密に読み込んで鍛え上げた読解力の賜物でしょう。
 当初は一人ひとり違う読みの粗さを、深く丁寧で、かつ速く読めるところまで到達させるためには、必ず通るべき道筋とポイントがあります。小学生以前から英会話の学習をしてきた生徒なら、その力と感覚を活かせばかなり効率的にそこに達することができるノウハウも自信が持てる程度に安定してきた手応えがあります。しかし、道に終わりはなく、現状に満足することは決してできません。以前に比べて進歩してきたのならもっと改良していくことができるはずだからです。
 そんなことを考えているときに、5年前の卒業生から電話がありました。彼は高校1年時に当時の大学入試の基礎課程を終えて、その理解度と学びの姿勢を見て「もう一人で学習を進められるだろう」と、いわば免許皆伝に近い形での当学院の卒業を勧めた第一号だったのです。国立大学医学部に進学した彼は、既に春休みだということで訪ねて来てくれて医師になるための本格的な仕上げの段階に入る所だと話してくれました。そして、漠然と憧れて医学部に入学したけれど、良い仲間や教授と交わって学ぶうちに医師として社会に貢献することの意味を考え自分の使命を感じるようになったとも。学びのステージが段々と上がりそのなかで真の志を得てさらに自らを磨いていくという、「学び」のあるべき形をきちんと実践していく姿に頼もしさを覚えるばかりでした。それから、一緒に英文の精読に取り組んだ頃のことを振り返って、英語はあまり得意ではなかったけれど毎回何か気づくことがあってだんだん面白くなり、大学受験時には一番の得点源になっていたと語ってくれました。
 何かに気づき、自分からわかることの“こつ”と面白さをつかみ始めたら学びは本物になっていきます。そんな経験をしてきた彼に、後輩と自分自身のために少しだけ当学院で英語を教えてみることを提案したら快諾してくれました。わずかなふれあいであっても、伝わりつながっていくものがあるはずだと期待しています。そして、当方は、4月から進級/進学して1つ階段をのぼる生徒たちに伝えるものを少しでも改良できるように準備してるところです。


03:29:10 | natalis | |