Archive for 01 June 2014

01 June

<Natalis Newsより> 言葉から前向きに

 我が子は、今、どんどん前へ進もうとしているでしょうか。はつらつとして、新しいことにチャレンジしたり、できないことでも自分から繰り返して乗り越えようとしているでしょうか。気持ちのパワーがあふれだしてくるような状態にあるかどうか、新しい生活も落ち着いてきたこの時期に点検してみることも有意義だと思います。
 幼稚園児でも、小学生でも、いや中学生でも、新学年の新しい環境にも慣れてきたこの時期、親心としては心配も一段落してきていろいろ注文の方が多くなってくるものです。そうです、あれができていない、これも十分でない、とマイナス部分にばかり目がいくようになっていないか、ということです。「早くしなさい」という言葉が口癖のようになっていたら要注意かも。
 子どもの側から考えてみると、4月は緊張で何かよくわからないうちに過ぎていき、連休明けからようやく本当の新しい段階に自分から取り組むことができるようになったぐらいでしょう。とくに、幼児や低学年なら、そこまでの意識もなく、少し慣れてきて自分の本領を出して新しい活動の一つひとつに巻き込まれている、といった状態でしょうか。つい2、3ヶ月前を思えば、「まだできなくて当たり前」という見方をしてあげることが必要なはずです。
 こんなときに英語のテキストを見ていますと、ちょっとしたことにも前向きな表現が多いことに気づかされます。ほとんど意味のない相づち自体に善い意味の言葉をおしげもなく使うのが普通で、“(Sounds) Good.”とか“Great!”などが飛び交いますし、「えーと」と考えたり間を置くときの“Well...”からしてそうです。一言いえば、「それはいい」「すごいね」と返ってくるのです。会話の色合いをできるだけポジティヴなものにしようとする姿勢が基本にあり、さらに良いことや相手を思う気持ちをきちんと言葉にして伝えるという文化的な伝統があります。はじめて米国南部に仕事で行ったときに、交渉や細かな打ち合わせから実際の協同作業の時に、何度か絶妙のタイミングで“If you are happy, I'm happy.”と言われて心底嬉しさを感じたことなども思い出されます。...というわけで、せめて我が子には、ほめ言葉を惜しまず、良いところを積極的に見つけて「いいね」「できたね」と認めてあげることから始めたいものです。
 そして、もう一つだけ蛇足でも付け加えておきたいのは、子どもたちは必ず伸びて越えて行ってくれるということです。目の前の新学年への順応のようなことだけでなく、もっと大きな課題と見えることも、時がたてば必ず克服してくれます。幼児期に入会していただいて中学生になった、小学低学年の子が高校生になったといった事例が増えてくるにつれていよいよ確信を持ってお伝えできます。ただ日々の生活を前向きに取り組むことができる支えがご家庭にありさえすれば、《成長》という時間が素晴らしい彼/彼女を彫琢し、はじめから予定されていたかのような姿にしてくれるのです。そして、それを強く信じてさえいられれば、前向きな言葉、認める言葉がどんどん涌き出してきてよい循環が生まれるはずです。今日の一言で、明日の我が子が一歩踏み出してくれる、と考えてみましょう。

00:22:00 | natalis | |