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01 December

<Natalis Newsより>何度も、何度も繰り返して、やっと...。でも必ずできるようになる!!

 我が子はがんばっているようなのに、なかなかうまくできるようにならない、先に進めない...。何歳でも、またどんなレベルでもあることですが、こんな状態で大丈夫なのだろうかと、本人も周囲も不安になってしまいがちです。けれど、そんなときこそ考え方をしっかりさせておかなければなりません。
 0歳の赤ちゃんから高校生まで、一人の人間の発達・成長という大きな視点をもってその日その日の指導にあたっていますと、必ずやってくる伸び悩みの時期も、それが乗り越えられることも、見通しの中に折込んでいます。それでもやはり、壁を乗り越えて大きな成長を見せてくれたときには、本当にうれしいもので、予定された当然の進歩というより、目の前で奇蹟を起こしてくれたような神々しささえ感じる瞬間があるものです。最近の例から少しご紹介しましょう。
 幼児期にどちらかというと「やんちゃ」でお母様も持て余し気味だったこともある違うクラスの男の子たち。意外にも、すぐに学校に慣れてしまうと急に落ち着いて、周囲に気配りの出来る「親分肌」の器量を発揮し始め、それに呼応するように英語の理解も進んで、幼児時代にやっていたことが今ごろきちんとした形で出てきていると周囲を驚かすところまでほとんど同じ成長曲線をたどっています。クラスで答に詰まった他の子にそっと教えてあげる姿に涙が出そうになることもありました。また、はじめから進んで学びたいというよりは受け身の姿勢で宿題もあまりできず、なかなか興味ももてずにいた小学生たち。ある子は英検準備の学習に入ったら自分がなぜか問題に答えられることがわかり急に自信がついて目を輝かせてもっともっとと問題をせがむほどに。レッスン中に下を向いていても口だけは動かすようにと何度も復唱させた文がスラスラと出てきて作文問題も次々に一瞬で答を言ったときにはしばらく見つめてしまいました。他の子は、いくつかの小さなアドバイスを実行してみたらどんどん読めてわかるようになり、コツをつかんで自分から家でテキストを開くようになり、中学生もよく間違える教科書の文の言い換え課題をさらりと全部こなして驚かせてくれたり。まだまだあの子のこともこの子のことも書きたいところですが、またの機会としましょう。
 我が子の進歩が見られないような気がするときは、思い出していただきたいのです。子どもたちの中には大きなタンクがあって、今はその中にため込んでいる時だからまだあふれ出ては来ないのだと。タンクが大きいほどあふれるまでに時間がかかるのだと。子どもの成長は、毎日毎日努力していても、やった分だけ少しずつではなく、ある時に急にまとめて出てくることの方が多いのです。そして、時々紹介しています発達心理学の礎の一人であるヴィゴツキーの「発達の最近接領域」、すなわち、子どもたちは現在の力のほんの少しだけ上位の課題だけを、環境の中で繰り返し触れることで獲得していくものだという考え方は常に正しく、我が子にも当てはまるのだということを。
 信じ、いつかできるようになる日を確実なこととして期待しながら、無理をせず、地道に繰り返し、さらに繰り返しながら待つことにしましょう。感動的な「その日」は必ず来るのですから。

00:25:55 | natalis | |