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01 March

<Natalis News>より  美しい「覚悟」... を

 弥生三月と聞けば、早、桜のイメージが浮かんでくるのはこの国で生まれ育った者の習いでしょうか。寒さがぶり返して来ても三寒四温は慣れたもので、4月からのまた新たな一歩のために様々に準備を進められていることと思います。進級進学といった大きな節目のない年齢のお子様でも、春の到来にあわせて新たな挑戦へのつぼみをどんどんふくらませていらっしゃることでしょう。
 さて、挑戦や出発、あるいは船出といった言葉がふさわしいこの季節にこそお伝えしたいのは、「覚悟」の二文字です。覚悟は辞書的には「よくない事態を予測して心の準備をすること」です。しかし、最近あまり感じられなくなったものの、私たちは確かにこの言葉にある種の美意識をこめて使ってきました。危機に陥ったときに「覚悟を決める」という使い方ではなく、何かをはじめようとするその時に、強い決意を持ちある種の絶対に譲れないものを意識し悟った凛とした心の状態として。子育ての、子どもとのつきあいの長い道のりにおいてもこの境地に達することが必要な時があると思います。
 もちろん、親なら誰でも自分の命に代えても我が子を守ろうと思っているものです。では、我が子のしつけや教育においては、どうでしょう。

 我が子であるなら、最低限《     》でなければならない。そのためには、《       》。

 子どもの自然な欲求は、社会のルールと人の道を身につけ、現代社会で自立して生きていくためには、かなえたり許してやれず、ときには矯める必要のある場合もあります。してはいけないことがわかり欲求を抑えるレベルから、何かができる人、何かを持った人になるために、長大な時間と労力をかけて“人間”をつくりあげる段階へと成長していかなければなりません。目標が高ければ高いほど、要求される水準も高くなります。そして、間違いなくある年齢までは、親がすべてを背負ってその厳しさを全うしなければならないのです。
 例を挙げようとすれば、およそあらゆる場面が考えられます。「ごめんなさい」が言えるまで、どんなに時間が経っても許さないで見据えているその時。どんなに疲れていても、友だちが待っていても、決めたことはやらせる毎日の戦い。「周りの子はみんな持っている、一人だけ仲間に入れない」と泣いても、絶対に○○は買わないと繰り返す時。自分から願い出て始めたことは目標を達するまではやめないという約束を思い出させる時、あるいは、何が今最も大切なことかを考えさせて、辛い結論でも受け入れるように導かなければならない時。.....
 親の「覚悟」には、それを厳しく実践しようとすればするほど子どもにはわかってもらえないという苦しさも伴います。それでも、社会に対する使命感と、これまで生きてきた自分自身の生き様をのすべてをこめるからこそ、この覚悟は厳しく徹底されるほど美しいのです。この時期、子どもがまた一段と広い世界に踏み出そうとする時にこそ、私たち親もまた背筋を伸ばして、「覚悟」を新たにすべきではないでしょうか。

00:03:00 | natalis | |
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