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01 October

<Natalis News>より  上の段階で重要なことは?

 現在、当学院には、8ヶ月の赤ちゃんから大学入学後も継続している学生まで、社会人の方を除いても0〜19歳までの広い年齢幅の生徒が在籍しています。学習期間も、数名の10年選手を筆頭に6年以上になる方も数十名になります。ですから、幼稚園の時に始めて小学校を過ぎて中学生になっている人や、小学生で入会して今は高校生で大学受験の勉強を始めているといった人たちがいるのです。
 設立当初から、一人ひとりの人間の成長と発達に寄り添いながら並走し、常に上の段階に進んだときに大きな成果が出るようにと考え、その時々の過程で大切な他の様々なこともしっかりできるように最小の労力で学び続けられるようにする、ということを方針として進めてきました。受験が終わったからそれまで、というのではなく、上の学校や社会で必要になることまでを範囲として今やるべきことを絞り込んで徹底していくという点にこそ、私たちの存在理由があると信じています。
 そのような“長い目”で子どもたちの成長を見ようとすると、どうしても学校という枠組みや入試の制度などの外部で決められた関門と一人ひとりの成長の仕方の個性との齟齬・バッティングの現実に突き当たるときがあります。まだ小さいお子様をお持ちの方は、我が子がこれからどのように現実の関門を越えていくことになるのだろうと想像してみていただきたいのです。
 たとえば入試の制度では、心と体と頭脳との成長の差を考えると、どのような育ち方をしてきても一応の完成を見る18歳で力を測るのは合理的に思われます。どんなタイプの人もそれなりの努力をする猶予が与えられてきたはずですから。しかし、12歳での完成度をみる中学受験は単に早熟性の競い合いのようにさえ見えます。まして、幼稚園や小学校のお受験は言わずもがなでしょう。ただし、その時期にある目標を定めて努力することの意義は、例えば、脳の発達というような観点からも肯定できるものです。ただ結果至上主義に陥ってしまうと膨大なエネルギーをかける活動も空しいものになってしまいます。幸いにもその関門を突破できたとしても、小学校や中学校から入った生徒の多くが高校からの外部入学生に学力では全く歯が立たないという一般的傾向はどこの一貫校でも明らかな現実としてあります。公平に判断すると「無理をさせる必要はない」という結論も支持できそうです。どのような選択をするにしても、「我が子がどんな能力を備えて社会に出て行くのか」という子育て・教育の最終的な目標を忘れないようだけはしたいものです。
 受験の話がもっともわかりやすいのですぐに取り上げてしまいますが、これはもっと細々した事柄にも当てはなります。どんな習い事をいつまで(どの段階まで)させるのがよいか、とか、そもそもどんな能力をつけておけば将来のための基礎力として有効なのか、さらに具体的に、国語力は/英語力は、いつまでにどのような力をつけておけばよいのか・・・。こういったことを外部環境としての学校や入試の制度などと我が子の《成長曲線》とをつけあわせて、その時々に最適な選択をしていくこと、これが一番大事なことではないでしょうか。
 我が子のことについて考える時、「それは次の段階に進んだときに必要なのか?その先ではどう影響するのか?」「まわりの風潮や目先のことで決めようとしていないか?」「この子の“今”に合っていて充分な価値が出せそうか?」といった見通しを検討していただきたいのです。そして、多くの子どもたちの長い成長の過程を見てきている私たちも、お気軽なご相談をお待ちしています。

22:04:48 | natalis | |
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