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01 November

<Natalis News>より 我が子の読書力はどうなる!?

 およそ我が子の教育について真剣にお考えの保護者の方であれば、読書の重要性を否定されるようなことはあり得ないと思われます。けれど、実際に我が子が“本を読む人”に育つためにはどうすればよいのか、となれば、これはなかなか難しい問題です。また、手段や方法だけでなく、時期についてまで明確に意識されている方は少ないのではないでしょうか。どの時期に、どんなやり方で、どんな内容の本を読むようにすればよいのか、しっかりと見通しを持っておくことが我が子に読書習慣をつけるには必要です。
 しかし!今回お伝えしたいことは、それ以前のことです。読み聞かせの仕方や年齢別の良書の紹介等、価値のある情報は書籍やネットでたくさん手に入れられますが、まずは子供と読書に関する現状認識を持っていただきたいのです。
 既にインターネットのある環境で育ってこられた保護者の方々も多数いらっしゃると思います。その時代と比べても、今はipadなどのタブレット端末の登場からスマホの普及によって家庭内のネット環境は劇的に変化しています。例えば3歳の子でも、十分スマホやタブレットで遊ぶことができます。実際、ちょっとした待ち時間などに自分のスマホで遊ばせているお母さんの姿はありふれた風景になっていますし、経験のある方も多いのではないでしょうか。ゲームのノウハウを援用していますから“教育的な”アプリでも子供を楽しませるツボをおさえて作られていますし、何より反応が即座に返ってくる「双方向」の参加型のツールの魅力はやはり最も強いのです。しかし、その「双方向」というところに実は落とし穴があります。自分から積極的に働きかけて参加しているように見えても、読書をしているときに脳内で起こっていることとは全く違っています。読書は、内容から得られる知識や感動は別にしても、自ら文字を追い、そこから語を認識して意味を紡ぎ、その連なりから話の流れを理解し、それを順次覚えておきながら進めなければなりません。文字という記号を媒介にして、すべてを自分の頭の中に創り出して動かし、記憶していくという意味で、これ以上の積極性を要求する仕事もないでしょう。そして、その労力と負荷の大きさが脳を鍛えるのです。それに比べれば、多くのアプリやソフトは、映像や音声まで与えられる受け身的なもので、プログラムされた“反応”(英語や物知りクイズなど、使っている情報は良い物に見えても、脳に有害な短絡的反応訓練をしている等の)を刷り込んでいる面が強いことに注意するべきでしょう。子育ての便利なツールくらいの気持ちで使っている物が、子供が読書に向かうべき時間を奪うだけでなく、考える頭を育てることと反対の刺激になる場合さえあるとしたら、どう対処するかを決めておかなければなりません。
 一方、中学生以上で既に携帯やスマホを与えたご家庭では、その使い過ぎ、気にし過ぎについての注意をしない日がありますでしょうか?LINEやFacebook, Twitter等のSNSや少なくともメールの使用が、子供たちの社会自体を根本的に変えてしまっていますから、何を言ってもやめさせることはできません。生きている世界それ自体が半分はそれら電脳空間の中にあり、それを取り上げてしまうのは「学校に行くな」と言うようなものなのです。せいぜい使用ルールを設けて制限するのが精一杯でしょう。そして、覚えておかなければならないのは、ここでも読書の時間こそが最も犠牲にされているという現実です。ネットの即時的な映像付きの情報を友達と共有し、それをものすごいスピードで更新しながら進んでいく世界で生きている子供たちが、わずかな空き時間にでも読書をするかどうかは、その年齢になるずっと前の段階で読書好きになっているかどうかにかかっています。
 我が子がまだ幼児や小学生でしたら、まずは危機感を持って真剣に読書への道づくりにご家庭を挙げて取り組んでいただければと念じています。中学生なら直接国語力を高める学習で対処することになります。いずれも、考え方や方法の詳細はいつでもお話ししていますので、お気軽にお声かけください。電話相談もお待ちしています。

02:25:00 | natalis | |
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