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01 September

<Natalis News>より  英検3級のライティング導入の意味と

 今年度から英検3級(中3終了相当)にもライティングが導入されたことはお伝えしていますが、その意味や内容とともに、今後の当学院の学習との関係についても少し踏み込んでお伝えしたいと思います。
 まず、そのライティング問題の内容やレベルを見ておきましょう。既に今年度第一回(6月実施)の問題はありますが、ここでは主催者である日本英語検定協会のHPで公表されていて誰でも見ることのできる模擬問題「英検3級ライティングテストに挑戦!」を例にとりましょう。
 例題は、"What is your favorite season?" という質問に、「自分の考えを」「理由を2つあげて」「25〜35語で」書け、というものです。そして、解答作成の手順を示したページでは、自分の考えを書いた後に、"I have two reasons." (私には2つの理由があります。)と提示した上で"First, ....." "Second, ......" と理由を書く『型』が示されています。これは、"first, second" などのディスコース・マーカー(discourse marker)を正しく使用して英文らしい論理展開を明確に示すことを要求している、つまり、発想自体を「英語的」にした文章作成能力が問われているのです。
 次に、レベルについて考えてみますと、使用語彙や文構造までは別にしてわかりやすく語数だけをみても、例えば都立西や青山のような自校/グループ作成校の問題では、35〜50語程度の作文問題が出題されますが、そのような高校をめざす生徒でも、受験勉強がかなりの程度進んでくる3年生の後半までは、25語の作文でも破綻無く書き上げるのは至難の業、というのが正直な現状と言えるでしょう。上位の生徒であれば、書けないわけではありませんが、書き慣れていないためにまとまらずミスも多い結果に終わるのです。そこに、英語的な発想を持った文章の『型』が求められるとなると、十全の要件を備えた解答を仕上げるとなればかなり難しいと言わざるを得ません。
 ここまでの説明で、3級が急に難しくなったと驚かれた方も多いかもしれませんが、これは、完全な答=満点のスコアが取れる解答を書くとしたら、という前提でのものです。実際には、合格基準はこれまでとさして変わりませんので、合否だけで考えれば影響は限定的ではあります。しかし、大事なことは、中学終了相当という設定で上記のような英語的発想を持った文章が作れることが明確に求められているということです。これは英検が進めている世界標準化によるもので、英検に限らず高校/大学入試改革から始まる日本の英語教育全体がその方向に大きく進みはじめていることの端的な現れなのです。(英検CSEスコアについては英検のHPをご覧ください。)
 さて、当学院ではどうするのか、です。すでに、今年の1月号本紙で、小学生の「書ける力と語彙力の増強」を打ち出し、中高生までを射程に「スピーキング力や作文力」にも注力して「総合的な英語運用力」を高める計画に触れていますが、読解教材がトップランクの高校合格を可能にする第三次補強まで完成した今、小学生クラスから上記のスピーキング力と作文力を同時に高める教材&レッスン・パッケージの制作が着々と進んでいます(これは英検5級合格以降の段階のプログラムとなります)。<小学生で英検3級合格>が、小手先の「傾向と対策」でギリギリの合格点になんとか達しようとするものではなく、英検を含む日本の英語教育改革全体がめざしている同じ場所をめざす独自の道の一里塚であることを証明しながら、目の前の一人ひとりの将来に資するために進んで参りたいと思います。

21:57:14 | natalis | |
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