Complete text -- "<Natalis News>より 深く掘り下げて考えられる人に   〜0歳からの子育ての考え方シリーズ〜"

01 October

<Natalis News>より 深く掘り下げて考えられる人に   〜0歳からの子育ての考え方シリーズ〜

 どんな分野であれ知的で生産的な人は、ただたくさんの知識を持っているということではなく、まず、細部まで深く掘り下げて考えることができ、さらにあらゆることの繋がりあった全体像とともにその関連の中で判断することができる、
そんな思考活動を普通に行なえる人だという言い方ができるかもしれません。それは、勉強でも仕事でも、何かをうまくやり遂げるために必要な力でもあります。
通常は、小学生から中高生へと成長する過程で伸びてくる力ですが、差もどんどん大きくなってくるのも事実です。では、我が子にそんな力を備えさせるために、子育てや働きかけには何かポイントがあるのでしょうか。
 こんなことを書いていますのも、実は、最近の子どもたちに共通して、深く考えようとしない、否、深く掘り下げて考え抜こうとした経験が乏しすぎるのだと感じさせるケースが非常に増えているからです。思考の短絡傾向と言ってしまえば昔からあることですが、学校の成績の良い生徒たちの多くからも感じ取ることができます。数日前に国立大学で教鞭を取る友人と話したときも同じ話題になりました。30年以上子どもたちの思考力の獲得と伸張というテーマを持ってかかわってきたものとして、危機感を抱かずにはいられないのです。
 さて、途中の分析は煩瑣になりますので今回は割愛しますが、(発達心理学や教育環境についての調査・研究や実際に生徒を指導し観察した経験から)これだけは注意したい子育てのポイントは:

(1)遊びと経験を見直そう・・・赤ちゃんのときから、親が教えたり手を添えてやったりしてできるようになったら、後は自分でいろいろなやり方でやってみることをもっと奨励すべきでしょう。それは、5、6歳以上になると、何かを本格的にやってみる体験になることもあるはずです。模型飛行機を手作りして飛ばしたり、時計やラジオを分解したり、さんまの内蔵を取り出しながら料理したり、
かつてはよく行なわれた遊びが備えていたような、自然と細部を掘り下げ全体を統合しながら何かを無意識に学び取る経験は今や相当に意識的にならないとさせられなくなっています。

(2)テレビゲーム/スマホやパッド/ドリルへ依存を減らそう・・・受動的で、短絡的な遊びの代表はわかるとして、ドリル学習もそればかりに頼りすぎると、時間に追われて考えずに答だけを出そうとする頭を養成する訓練になってしまう危険性があります。親の側の便利なツールは、子どもの成長と学びの観点からはどうなのかと常に精査される必要があるはずです。

(3)やはり対話と読書が決め手!・・・生まれたその時から、たっぷり言葉をかけて反応をみてはまた声をかける、最も大切な働きかけ。それはやがて話せるようになったら、対話として段階を上げていかなければなりません。小学生でも、中学生であっても、自分の考えを的確にまとめて人に伝える訓練は家庭でのふだんの会話からでしょう。それを支えているのが、読み聞かせからはじまる読書の蓄積です。そして、何かを追求するような、それこそ自分の興味を掘り下げていく読書が習慣づくまで様々にサポートをしていかなければなりません。(その方法はいつでも教室でお話ししています。)

 想像してみてください、自分で納得するまでとことんやってみる経験を積んでいる子どもが、自分の興味の探求のために次々と本を探して読み込んでいる姿を。彼女/彼が、たとえば、小3でも中3でも、あとはもう安心だと思えるのではないでしょうか。 

00:01:00 | natalis | |
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