Archive for August 2014

02 August

<Natalis Newsより> 贅沢に時間をかけて

あいかわらずの異常な暑さにもいつの間にか慣れて、(どうすることもできないとは言え)なんとかやり過ごすようになっているのは克服と言えるのか、惰性で鈍感になるという身体の「適応機制」を身につけたのかなどと考えてしまうこの頃です。
 それでもほとんどの子どもたちは、忙しい毎日を送っているようで、いつから夏休みがこんなに慌ただしい時間になってしまったのかと、つい昔と比較して思わずにはいられません。
 毎年夏休みには、普段なかなかできない様々な体験をしたらそれをしっかり言葉にすることにチャレンジするよい機会ですとお伝えしています。今年はもう1つ、能力開発の原点に返って、「じっくり」と「たっぷり」という、今やもっとも贅沢かもしれない学び方を再考しておきたいと思います。
 幼児でも小中学生でも、ある領域の能力が一段ぐっと高まる時というのは、練習が一定の量を超えて習熟の域に達した時だということは、常々お伝えしている通りです。脳科学においても、神経細胞の樹状突起の発達や軸索の髄鞘化といったより広く太い回路の形成が確実に起こるためには十分な繰り返しが必要であることがわかっています。楽器の練習のように、なかなかうまくできないことも諦めずに何度も繰り返していると、ある日ふっと楽にできるようになり、その後はほぼいつでもできるようになるものです。そこまでいってはじめて「力がついた」状態と言えるのです。
 子どもに何かをさせようとするとき、ついついその場での結果を求めてしまいがちです。「こんなにやったのだから」とか「これだけ教えたのだから」と思っても、実際にはただ単に習熟に必要な量には達していないだけかもしれません。ものによっては、日をおいて何度もという絶対的な時間の長さが必要なこともあります。ですから、夏休みくらいは、目先の結果を求めずにじっくりと構えて本来の学びを取り戻したいものです。
 幼児から大人まで、英語にも国語にも有効な方法を一つだけ挙げるなら、しっかり確認しながら声に出す(音読する)ことです。目新しい方法ではなく、取り組む姿勢こそ大きな差を生む(!)ですね。

09:08:22 | natalis | |