Archive for December 2017

01 December

<Natalis News>より 幼児・低学年の時からこそ   〜0歳からの子育ての考え方シリーズ〜

 当学院の最も大きな特長の一つは、0歳から大学生や社会人までの成長・発達をひとつながりの視点で見て、それぞれの段階に合わせて最適の「教育」を提供する、というコンセプトです。教育にカッコがついているのは、あくまで家庭教育の側に立って(一方に制度としての、園や学校の教育がある前提で)この目の前の“我が子の将来”を考えて行なう教育という限定があるからです。
 さて、一人ひとりの子どもたちと5年どころか、8年、10年、最長15年、とつきあってきて思うことはたくさんありますが、知力の養成という観点から共通して言える重要ポイントの最大のものは、やはり、幼児期と小学低学年時の、または、その時期からの、働きかけと能力の土台作りに関するものです。
 その第一は、もちろん当欄でも何度もお伝えしている「読書力」につながる言語能力の養成です。今回は要点だけにしますが、生まれたときからの語りかけから、言葉をたくさん覚え始める2〜3才の時期の声かけと読み聞かせ、文字の読み〜一人読みへと進めながら、読みの「質」(=正確さと深さ)をどう高めていくか、そして、小学校に入ってからは、いかに2、3年生での抽象的な言語の世界への離陸を成功させるか。今の状態をよく見極めながら、あらゆる手を尽くして、「安心できる読書」=内容を吸収しながら自然に語彙と読解力を高めていく読書、ができるところまで独り立ちさせるかが、その後の知力の発達と学習の進捗に非常に大きな影響を及ぼすのです。
 第二は、“心の器”作りと言うべきでしょうか。生態学的には、ヒトも外部の環境に影響されると同時に働きかけ利用ながら、自らも変化して成長していく生物です。自分を取り巻く人や物事をまずしっかり受け止め、前向きなプラスの姿勢でかかわっていける心の状態ができていれば、日常のあらゆる経験からどんどん吸収して、学びの底力となる人間の厚み、つまり環境変化への対応力を養うことができます。そのためには、幼児期から、身近な人々と愛情に基づく深い関わりの“やりとり”を経験することです。日々のちょっとしたイヤなことから大きな挫折まで、成人するまでは実に様々な想定外のことが待ち受けていますが、それらを越えてもずっとまっすぐに進んで行ける、究極の素直さや誠実さは、先天的な気質とは別に、周囲の環境から時間をかけて育まれるものであることを覚えておきたいものです。(これも、詳細や具体的な方法論については教室で!)
 第三に、習慣と継続の力を挙げたいと思います。これはあまり説明の必要はないでしょうが、やはり、人の成長を助け支えるという点で実に大きな効果を発揮するものです。生活や活動の全般にわたって、目先の何かによってむやみにを変えないこと、つまり、方針がぶれないこと。そのためには、幼児期から我が子にとって何が大切なのか、ずっと先の方までを見通しているのか、を吟味して目標や方針を定めるべきでしょう。その上で、決めたことを、たとえ親の方が苦しくなるほどのことがあってもなんとか続けさせられれば、目に見えにくくとも確実に大きな地力が形成されていきます。
 ちょうど先日、11年間続けてくれたAさんが、第一希望の立教大学の推薦入試に合格したと報告してくれました。途中には何度か中だるみというか、友達や先生と話すことが楽しみで来ているような時期もありましたが、本質的には素直で前向きな性格だったので、山あり谷ありを乗り越えて続けることができ、英検取得や英語の成績や実力が決め手となりました。Aさんの将来を自信を持って祝福できるのは、彼女の長い学びの日々の努力と習慣として根付いている“乗り越える力”を知っているからです。いつのまにか英語を活用して世界へ羽ばたこうとする学部を志望していたことも、当方にとっていっそうの喜びです。

02:18:26 | natalis | |