Complete text -- "<NATALIS Newsから> 国語でも英語でも、「要約力」をこそ!"

01 October

<NATALIS Newsから> 国語でも英語でも、「要約力」をこそ!

 再び読書の話です。いつものように言語能力や思考力の養成という観点から、今回は「要約」の重要性とやり方について少し詳しくお伝えしたいと思います。ただ読むだけではもったいないのです。ぜひこの「要約」ということを意識してご家庭でも取り入れていただきたいのです。

 高度な考える力とか抽象的思考力につながる読書ということで、読後に要約訓練を取り入れることを何度かお勧めしてきています。要約とは、もちろん、読み終わったばかりのお話の内容を短くまとめることですが、段階に応じていくつかのポイントがあります。

 幼児期の読み聞かせの段階なら、自然に親子で対話をすることになりますから、まずは、内容をどのくらい理解し覚えているかということに注意してヒントを出しながらきいてあげましょう。小学校受験のテストに「お話の記憶」という領域がありますが、やはり話を聞いて内容を理解してある程度覚えているということが要約の前提になります。記憶力とともに話の筋を注意を切らさずに追っていける力も重要な基礎力です。とはいえ、この年齢では自分の注意力をコントロールすること自体がたいへん難しいものです。結局は量をこなすことで伸びていきますので、つい詰問調になってしまわないように気をつけ、楽しく話し合う工夫をしながら続けたいものです。

 一人読みができるようになれば、読みの深さや正確さを確かめるためにも、どんな内容なのか興味があるという姿勢で尋ねるようにしましょう。小学生でも、だらだらとはじめからストーリーを話し始めたり、印象の強かった部分だけを細かく再現し始めたりすることがよくあります。このレベルから気をつけるべきは、「全体をそのまま縮められる」ことをめざすということです。実はこれは相当に難しいことです。話の全体を重要部分だけ取り上げてしかも過不足なく縮めるのは、大人でもかなり苦手な方も多いようです。はじめは、時々助け船を出したり、「あの○○はどこで出てきたの?」と思い出させてあげたりしながら、本人の言える範囲で言わせます。小学生なら書かせることができれば、格段に力が伸びていきます。そうして、次のポイントは、まとめの長さを変えられるようにすることです。「もっと簡単に言うと、どういうこと?」とどんどん短く言い直させるとよいでしょう。そして、最後には「つまり一言で言うと?」と大きな場面・段落毎の小見出しを作らせます。100字程度の少し詳しい要約文から小見出しまで、自在に長さを変えて自分の言葉でまとめられれば理想的です。

 実は、この全体をそのまま短くまとめ取る力をつけることは、英語の本格的な読解訓練の初歩においても非常に重要なハードルなのです。例えば、小学生で英検3級(中3終了相当)に合格しても、読解問題をスキャニング(必要な語句を探し出す情報読み取りのための、速いが表面的な読み方)のテクニックで点数を稼いでいるだけなら、その先のレベルで大きな壁にぶつかることになります。スキャニングは確かに重要な技術ですが、根幹となる基礎力を養成すべき段階ではまず本道を進むべきです。私たちのアリティス・メソッドの英語教育では、早く基礎文法を身につけ、その後は様々な角度から徹底的に「読み」を鍛えることになります。そして、そのなかでも段階的に内容を要約していく訓練が本物の力をつけるための大きな要素になってくるのです。当然、その時に母語である日本語の要約力も関係してくることはご理解いただけるでしょう。

 さてさて、日本語の要約についてもう少しだけお話しておきましょう。
 高学年で、特に中学受験をされる方は、熟語を正確に使って(長々とした経緯や複雑な関係などをたった二文字の言葉に収斂させるように、的確な熟語を自分の持つ語彙から選び出しそれを武器として要約して)いるかどうかをチェックしてください。熟語を漢字練習の延長と考えてはいけません。要約とは、つきつめれば、文章の大きな部分を概念としてまとめ、さらに熟語の単位にまで凝縮した上で、それらを組み合わせて全体を再構築する作業とも言えるのです。

 最後に、中高生まで使える一石二鳥の要約訓練法を一つ。他教科、特に社会や理科の教科書・参考書の内容を要約して自分のためのノートを作るのです。テストに必要なレベルを想定して妥協せずに行うと、その教科については短期間でも大きな効果が得られます。
(2008.10.1)
00:01:00 | natalis | |
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