Complete text -- "<Natalis News>より 刻々と変わる“今”に対処できる 『備えある人』になるために"

01 October

<Natalis News>より 刻々と変わる“今”に対処できる 『備えある人』になるために

 結局、子育て=家庭教育とは、我が子の将来のための備えを外部
の物ではなくて、本人の内部にあって決してなくならないもの、つまり「力」として授けようとする営みである、とも言えるでしょう。 それは、学問や技術のような能力だけでなく、粘り強く諦めない気持ちの強さのような精神力も含まれます。
 では、その「力」の内容とはどのようなものなのかと考え始めると、 実は簡単ではないことに気がつきます。 技術の進歩の速さが社会や生活の在り様を大きく変えているからに他なりません。一つの革新的=核心的技術は、かつての中心的な哲学思想の役割をもっと短いスパンで演じ、10年、20年後の世界を予告し準備しますが、30〜50年後には、跡形も見えなくなっている可能性が高い、そんな時代だからです。
 今これを読まれている保護者の方の中に、小・中学生の頃に、みんながスマホを携帯しSNSとネットでつながった社会の方がリアルの世界以上の比重を持つような生活がどんなものか予想できた方はいらっしゃらないでしょう。 最近では、GAFAとかFAANGなどと独占的な地位を占める巨大企業の影響力のことが議論されることも多くなってきましたが、一方では、仮想通貨で有名になったブロック・チェーンの技術を使って、G:グーグルやF:フェイスブックのような中央集権型の「巨大な主催者」に支配されることのない、完全な分散型ウェブという新しい技術思想も実現に向けて歩み出しています。 個人と個人が1対1で直接繋がり合うネット社会が当たり前になった時、何がどう変わってくるのか、私たち自身の振る舞い方はどうなっていくのか、まだまだまったくピンとこないというのが正直なところですし、本当にそうなるのかもわかりませんが、確実なのはそのような現代の状況からかけ離れた、予測もできない未来が次から次にやってくるということです。
 それでも、その未来に羽ばたいていく子供たちには備えが必要なのです。 誰か、または外部の何かに頼るのではなく、自分の足で立ち、自ら選んだ道を歩んで欲しいからです。 学問や技術の中身はどんどん更新されていきますし、重要な試験の制度すら大きく変えられてしまうこともあります。だから、学ぶ姿勢、学び取る技術、学び続ける気持ち、そんなものを大切に育てることが今ほど求められている時代はありません。 さらに、情報の洪水のようなこの世界の進み方を間違えずに読み取るリテラシー能力や、刻々と変わる状況に対処していける柔軟性といったものまでが必要だとすれば、それはどうやって身につけられるのでしょうか。
 これはもう究極の教育論になっているのかもしれませんが、私たちの用意している答えは、家庭教育の立場からのものです。それは、やはり、高度な読解力に支えられた読書力(日本語・英語の)をつけて古今東西の知性と自在に対話できるようにすることと、生きた人間、その中でも、信頼に足る知性を備えた大人と関わりしっかり対話することで、前述の「力」を身につけ鍛えて、その先の広い世界での人々との深い交わりへと送り出せるようにすることだと考えます。
 そのような意味で、成長の途上の、様々に曲がりくねった長い道を登って行く彼らとその時々に応じた対話をしながら伴走して行く大人でありたいと思っています。

17:53:08 | natalis | |
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