Archive for 01 October 2013
01 October
<Natalis Newsより> 最新の脳科学でも証明! 外国語学習は、続けてこそ!
常々、「語学はこつこつ続けなければ」と言われて、実際言い続けてもきましたが、最近、その根拠を科学的に証明する研究成果が発表されましたので、ご紹介しましょう。小平市にある国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の細田千尋研究員らの研究が『The Journal of Neuroscience』(米国)に掲載されたものですが、英語学習が及ぼす脳の変化とその1年後までを最新の機器で計測した報告となっています。(Dynamic Neural Network Reorganization Associated with Second Language Vocabulary Acquisition: A Multimodal Imaging Study )
研究では、まず4ヶ月間英語語彙学習をした日本人学生としなかった学生の脳の、前後の変化をMFI(磁気共鳴画像法)画像で調べています。結果、学習した学生のTOEICスコアは30%上昇し脳の前の方の右前頭葉44野という部分の灰白質容積が増加し、大脳深部に伸びている尾状核という部分などの連結が強化されていることがわかりました。つまり、言語に関するある部位に変化が起こり他の部分とのつながりの強化という変化も確認されたということで、学習しなかった学生にはこの変化は現れなかったのです。現在の脳科学では部位の局所的な変化だけでなく、連結の強弱まで注目できるようになってきていて、一元的な部位の変化ではなく脳がダイナミックに活動している様相が理解されるようになってきています(余談ですが、単純に脳のどこかを強化する特効薬的な学習法などあり得ないことをよりはっきり示しているわけです)。
さて、1年後にはどうなったでしょう。学習を経験したほとんどの学生のTOEICの点は落ちて、学習を始める前の10%上程度になっていました。同時に、右前頭葉44野の灰白質容積も、また、44野と尾状核結合の強度も、3分の1以下にまで落ちていたのです。そして、ここが肝心なところですが、数例だけ認められた脳の変化の低下の見られない学生は、TOEICスコアも維持しており、実は自分で学習を続けていた人たちだったということです。
学習をある程度続けていけば脳内に明確な変化が現れて目に見える学力がついてくる。しかし、止めてしまえば1年でその脳の変化のかなりの部分が元に戻って力を失ってしまうのです。まさに継続は力なりの証明ですね。小学校や中学校の受験で休まざるをえない方からの相談をお受けする季節が近づいてきましたが、教室は休会することになっても、英語の学習をゼロにはしないで週に2、3日でもよいので、幼児ならCDを聞いたりテキスト(Picture Dictionary)の好きなページの単語を思い出して言ったり、見ながら単語を書いてみる、小学生ならお渡ししている英検や中学校の教科書を音読する、といったほんの5〜10分でできることを続けていただきたいとお伝えしています。そのためにも、幼児のうちにアルファベットだけでなく単語ぐらいは自在に書けるようにしておく、また、小学生のうちに長いまとまりのある文章が読める英検4級(中2終了相当)以上に進んでおいて、教科書数ページの「お話」部分が一気に読める速音読の力をつけておきたいものです。
ちなみに当学院は生涯会員制ですので、合格後はぜひ少しでも早く再開して次の段階に備えましょう。もっと先にあるはずの目標に向けて継続することが、ただ継続だけが力を育んでくれるのですから。