Archive for 04 January 2006
04 January
NATALIS NEWS アーカイヴ 第3回
<3>能力開発〜英語・英会話編
量とスピードが「質」をつくる!
何事も本当にできるようになるためには、繰り返しの練習が必要だということは、誰でもわかっていることでしょう。それでも「身につけ方」に差があるのはなぜでしょうか。素質や環境を語る前に、また、ヤル気と頑張りといった根性論になる前に、もっとこの「身につけ方」について考えてみる必要がありそうです。
外国語などの言語習得について研究する応用言語学や認知心理学では、"learning strategy"(=学習方略)という名でこの分野の研究が進んでいて、当学院でも各クラスのレッスンやオリジナル教材にも様々な成果を直接、間接に取り入れています。ご家庭での参考になることは今後もお伝えしていくつもりですが、今回は大局的な考え方として、練習の量と速さについて確認しておきます。何かを身につけるためには、(1)ある一定の量を超える練習が必要。(⇒我が子に必要なその一線を超えなければ意味がない、と考えましょう!) (2)ある速さでできるようになるまで練習させる。習熟の度合いはスピードに現れます。(⇒本人に速さを意識させましょう!練習中の正確さは事柄の内容により85〜95%以上で。)忙しい子どもたちのために、中身の濃いトレーニングができるように、ぜひ名コーチをめざしてください。 (04.1)
「覚える方法」を覚えよう!
「覚える」ことの大切さについて再確認しておきたいと思います。
暗記といえば、よくない勉強方の代表のように言う人もいますが、幼児、小学生の段階では言葉や文を覚えていつでも言えるようにすることこそ、実は最も本質的な学習です。人はどんなことでも真似て覚えて身につけ、その後で自在に応用できるようになるのです。日本語でも英語でも、語学においてはなおさらです。そして、重要なことは、「覚える」ためには練習が必要だと言うことです。頭がいいから覚えられるのではなく、覚える訓練をし覚える力がついているから覚えられるのです。<覚える力を鍛える訓練>と位置づけて、幼児なら単語や定型文レベルを音で、小学生以上なら文レベルを文字も含めて「見ないで言える」ところまで練習をしましょう。
覚えるコツは、(1)声に出しながら、(2)目を閉じて意識的に思い出せるまで繰り返す、(3)数分〜数日後にも思い出してみる、といったポイントがありますが、自分に合った方法を早く見つけることが大切です。そして、二日後でも意識的に思い出すことができたら、ほぼ大丈夫で、あとは1〜2週間に1回程度の復習(=思い出し)ができれば理想的です。始めは少ない量から、着実に覚えられるようにチャレンジしてみましょう。
(05.6)
世界を見ている新しい人たち
3月のある日、まだ高校1年生くらいの女の子が飛び込んできて「ここで働かせて下さい!」と言った時にはさすがに驚きました。しかし、よく聞いてみると、卒業後にはアメリカの大学に行きたいと思っていて、そのためにインターンシップの実績が必要で、学校の許可もあるとのこと。前から英語スクールに興味があったこともあり、当学院を訪ねてくれたそうです。海外の大学というのは、インターナショナル・スクールに通った経験があり英語もできる彼女にとって、日本の社会やそのまま進級できる有名大学のことも含めて将来を考えた上で、自然に出てきた結論だということです。(ちなみに、自我が確立する時期の数年間を海外で過ごした彼女にとって、たいへんな受験の競争を乗り越えてでも多くの人が入りたがるその高校の雰囲気は「単一の価値に染まった単色のイメージ」で窮屈すぎるとのことでした。)
突然の訪問ながら礼を失することもなく、まっすぐに自分の思いを伝えられるコミュニケーション力はまぶしいほどで、断る理由はみつかりませんでした。
なぜ、我が子に英語を学ばせるのか、その先をどう考えていくのか、彼女のような人が近くにもいることは大きな示唆を与えてくれます。 (04.4)
2ヶ月半で、偏差値50が70に!
M君は、優秀な学校に通う高校受験生。いつ頃からか英語が苦手になり、3年生の夏前にはテストで平均点がやっとの状態になっていました。大手の個別指導塾などに通っても効果がないとの相談を受け、週2時間で個別に指導することになりました。結果的には、2ヶ月後に受けた2つの公開模試では偏差値60台後半に、その半月後の校内の重要な模試では満点で偏差値72に達しました。なんとか入れればという第一志望校は今ではスベリ止めになり、1、2ランク上が大丈夫そうです。
なぜこの話をするかと申しますと、日本で英語を学ぶ以上、この受験という壁は避けられませんし、一方で、有名校や大手の塾でも本物の実力をつけられていない現実があるということを知っておいていただきたいからです。私立トップ校の生徒しか入れないことで有名なT会で行き詰まっている生徒も指導していますが、分析してみますと優秀な生徒だけ集めてただ多量の難問で競わせているだけというのが実態です。本当に英文を読むこと、自分で自在に文章を作って書き、話す力を養成することについては、どこでもほとんど実現されていないといっても過言ではありません。そのノウハウがないのです。当学院では、「英会話」と呼ばれるコミュニケーション重視の教え方をしていますが、その先は、高校・大学入試も含め、留学や社会に出てから実際に使うレベルまでを想定して、そのために必要な力を本当に身につけさせようとしています。今在籍していただいている生徒の皆さんは、大いに期待していただいて結構です。そして、幼児さんであっても、将来の、少なくとも中学高校の時期のことまでは一緒に考えてみていただければと思います。ただ外国人講師と楽しく英語に触れたらネイティヴ並の英語が話せるようになるなどと、あいかわらず根拠のない詐欺まがいの誇大広告がまかり通っているなかで、「英語は発音が大事だから」「まあ、英語が好きになってくれれば」「外国人の人を見ても気後れしないようになれば」といった一時のファッションか気休めとしてではなく、本当に目の前の我が子の10年20年後への道すじを考えていただきたいのです。 (05.12)
(番外編) ハロウィーンって?
ハロウィーンの由来は、今から2000年以上前、中部ヨーロッパからアイルランドにかけての広い地域に住んでいた古代ケルト族の祭祀にさかのぼるといわれます。(彼らはその後ローマ帝国や移動してきたゲルマン民族に追われ、次第に混血化しながらスコットランドやアイルランド、大陸の一部などの狭い地域にその伝統が残るだけになってゆきました。)
古代ケルト族は独自の宗教を持っており、彼らが秋の終わりに行っていた大規模な秋祭りが、ハロウィーンの第一の起源です。彼らの1年は11月1日に始まるとされ、その前日つまり1年の終わりの日には、地上と霊界の境が開いて死者や祖先の霊と一緒に幽霊や悪霊が蘇ってくるので、それを追払うためにこちらも怖い装束をつけ、かぶらのランプをもって村中を歩き回ったということです。自然の力と先祖の霊に収穫の感謝を捧げ、次の春に新しい命と成長を願う「死と再生の儀式」の一部が伝わっているといえるでしょう。
現在のハロウィーンのお化けのイメージはここから来たもので、子供たちはお化けに扮して、"Trick or Treat!" =お菓子をくれなければひどいことをするぞ、といって歩き回るわけです。この古いお祭りに、キリスト教の全ての聖者の日の前日である10月31日を「All Hallows Eve」として祝ったこと(Halloweenの名の起源。キリスト教は土着の伝統宗教や慣習を自らの祭祀として取り込むことで、広く普及していきました)や、中世キリスト教異端者たちのサバト(異教神や悪魔崇拝の秘密集会、=魔女のイメージとして伝わっています)などが混ざり合って今日のハロウィーンに至っています。
いずれにしても、思い切り羽目を外すことが許される特別なハレの日として、大人も子どももたいへん楽しみにしているのは、昔からかわらないことでしょう。ぜひご家庭でも楽しんでみてください!