Archive for 01 June 2015

01 June

<Natalis Newsより> 本気で叱っていますか? 〜常に言葉で伝える子育てを

 子どもは常に変化し成長しているのだとわかっていても、急に反抗的になってくると、やはり戸惑ってしまいますね。最近も幼児・園児・高学年・中学生のお母様と話題になったところですので、再度、取りあげておきたいと思います。 
 はじめに反抗期について見直しておきますと、大きく個人差がありますが、最初は1歳を過ぎて、どんどん歩けるようになった頃に逃走・脱走が始まります。2歳過ぎから言葉でのコミュニケーションが進んでくると、典型的な「イヤ、イヤ」の季節の到来です。少し安定してきたと思うまもなく、3〜4歳で初めてしつけという形でこの世のルールというものにぶつかり、芽生えてきた自我との間の確執が繰り広げられます。
 初期は、「ほら、ひとりでこんなこともできるよ」という喜びと、「どんどん離れていく自分をお母さんは見ていてくれるだろうか、追いかけて来てちゃんと捕まえてくれるだろうか」という不安が交叉して、あえて過激な行動で反応を確かめようとしていると考えられます。その先は、ルールや他者と出会い、社会性を身につけていくための試行錯誤の時期で、時には親が社会、つまり、規範を代表して立ち向かうことになりますから戦いの様相を帯びてくることもあります。我が子と同じ方向を向いて一心同体で何の疑いも持たなかった時期を思い出すと、「どうしてこんな...」とため息の一つも出そうになりますが、自立への第一歩としてむしろ前向きに捉えたいものです。
 小学校に入ると、世界が広がり、友達との関係と家庭との間のせめぎ合いから反抗的になる時期が現れますし、現代では高学年の受験ストレスからくる反抗や“キレ”の問題も無視できません。そして、中学校入学という大きな環境変化、特に人間関係の緊張が思春期と相まって親子関係に変化を呼び込むことも多いようです。こういった大まかな流れの中に、家庭毎の特殊な事情が加わって、一人ひとり違った形の反抗期になっていると考えられます。 
 では、どのように対処ればよいのか。成長過程に必要で避けられないものとして理解し、受けとめることが基本的な態度としても、さらに二つの重要なポイントがあると思います。それは、原則と方針をはっきりとブレずに強く持ち、常に言葉で伝え続けることです。
 はじめは単純な善悪から、やがて人間として大事なこと、そしてその上に我が家の一員としての要件が加わるでしょうか。それを普段からしっかりと話し合うこと。たとえ何歳であっても言葉でしっかり伝え、納得したら約束する。小さいうちからこの習慣をつけられるかどうかが本当に重要です。そして、できたらしっかりほめ、約束をやぶったときには、本気で叱ること。これを何度でも、基準を変えずに我慢強く繰り返しましょう。叱る時には、真剣さが伝わることが大切です。今がその時だと思ったら、まっすぐに対峙して目を離さず(必要なら両肩を押さえてでも)、冷静に、全身全霊、心を込めて叱りましょう。「一人の人間の先輩としてこの私自身が許さない」という思いを、目の前の既に立派な「他者」である我が子にぶつける気魄が肝心です。これは親にしかできない、一生の宝物になるプレゼントなのですから。

00:01:00 | natalis | |