Archive for 04 January 2006

04 January

NATALIS NEWS アーカイヴ 第2回


<2>子育て〜家庭内文化編



    難しい話をしましょう!?


 3歳前後の質問ばかりで困らせられる時期から、小学高学年のお子さんまで、それぞれのレベルにあてはめて考えていただきたいことですが、その子にとって少々難しいことでも、避けたり簡略化せずにしっかり話してあげていただきたいのです。質問されたときだけでなく、食卓で何かが話題になったときなど、大人の語彙も使ってできるだけ正確に解説してあげましょう。
 また、仕事や趣味のようにご家族の方の関心の深い事柄については、ある程度専門的なことまで聞かせてあげたいものです。高学年なら、最新の科学情報から歴史、哲学、経済の仕組み、世界の状況など、書籍、新聞やインターネットなども使えばかなり複雑な話もできますね。大切なのは、その事が理解できたかどうかではなく、普段からの言語環境がどのようなレベルにあるかということです。1回きりでなく「いつも」の平均値の問題です。
 子どもたちは、自らが深くかかわりを持つ周囲の環境から、言語とともに新しい(より高次の)概念や思考の方法を吸収して、少しずつ自分のものにしていきます。幼稚園・学校は一般に言語レベルが学年という枠で制限されており、かかわり合いの深さも家庭には及びません。直接子どもに話しかけているのではない大人同士の会話も含め、ご家庭の言語環境を豊かで高いレベルに維持されることをお願いします。(英語についても、より高い内容に進もうとするときに、母国語による概念構成の力の差が、構文や文法などの理解と吸収に大きく影響してきます。)
 3歳以下のお子さんについては、「今、ここ」の話題で、具体的なやり取りをしながら、できるだけ分かりやすく(繰り返しを多くして)話すのが原則です。   (03.11)




 話し合い、約束し...本気で叱る


 少し前に、教室であるお母様が我が子を真剣に叱っていらっしゃる場面に遭遇しました。多少危険な面もあるいたずらが原因だったでしょうか。両肩を押さえて、まっすぐに目を見つめながら強い声で、しかし感情を含まない冷静な調子でした。印象に残ったのは、最近このようにしっかりと叱られる方が少なくなっているからかと思われます。一人ひとり、ご家庭毎に違うのは承知の上で、あえてみなさんに、「もっと強く、しっかり叱りましょう」とお伝えしたいと思います。ただし、感情的に「もうどうしてそうなの、困るじゃない!」とか「お父さんに言いつけます!」などは悪い叱り方の代表例ですね。言葉はなんとかがまんして選んでいてもその声音に上のような気持ちが響いてしまっていませんか。親も人間ですから時には堪忍袋の緒が切れることもしかたがないことですが、子どもに、自分は否定されている、嫌われていると感じさせないことは注意しておきたいですね。言葉がすべってしまったときは、その場できちんと言い過ぎたことを謝っておきましょう。もちろん、なぜそんなにまで怒ってしまったのか、本人のいけない部分のこともきちんとわからせながら。 
 基本的には、叱る時は客観的に、ほめるときには感情をこめてが原則です。そして、表題の通り、はじめに話し合い、何がいけないのかをよく理解させ、約束に自分から同意させ、その上で、あきらかに約束を破った時には必ず本気で叱る、と手順を踏むことが大事です。いつもお伝えしている「約束を大切にする家庭内文化づくり」が、ここでも大前提です。  (03.10)




  「あの人」まで、10年。


 先日、小5になったばかりの娘さんと話していて、父親のことを「あの人」と言ったので驚いた、という話を聞きました。子どもはものすごいスピードで成長し、一人の独立した人間として立ち上がっていきます。それは、抱きあげられた腕の中でただ泣くことしかできなかった誕生の瞬間から始まり、言語の獲得や反抗期を経て、また、通園、通学など所属する世界の広がりを通じて、目的地である「独立」へとますます加速度を増して進んでいくプロセスです。もちろん、どのような独立の在り方なのかは、成育過程の環境と本人の反応の仕方の積み重ねと、ほんのわずかながら遺伝的な要因とによってかわってくるものですが。
 今の我が子の状態や親と子の関係を、この子ではなく、この「人」が本来の姿になるために何がしてやれるか(または、何をするべきではないか)、という視点から見直してみることも、大切なことです。特に、初めての反抗期で日々「イヤイヤ」と戦っていたり、けじめをつけることを身につけさせる叱り方で悩んでいたり、もっと大きくなっていても自分自身に打ち克って義務を果たすことの重さをなんとかして教えたいと思われているような時には。頭ごなしに指示を与えないとか、まず自分の意見を言わせて話し合うといった注意点もそのような見方から再度考え直してみましょう。
 さて、冒頭の娘さんは、少し前に父親と話したときにうまく自分の考えを伝えられなかったと感じていて、「あの人は〜〜の性格の人だから、今度はもう少し△△な言い方をしてみようと思う」といった文脈でその言葉を使ったとのことでした。まだ10歳。あの赤ちゃんだった頃からわずか10年で、ここまで人は成長することができるのですね、自分と他者の心に対する自然なコミュニケーションの姿勢を磨き続けていければ。  (04.4)



  ひとりの人間として、意見を聞く


 どの年齢のお子さんについても言えることですが、親の側の思いよりも常に一歩先に踏み出して成長して行くのは子どもたちの方です。親の考えは、いつも、<昨日までの>我が子の姿に基づいているのに対して子どもの方はいつも<今日>を走り抜けています。そして、子育ての悩みや問題も、多くはその差異から発生しているようです。
 「目の前にいるのは、一個の独立した人間だ」と、考えて対応するように普段から意識しておくことが大切です。日々変化して新たな面を見せる我が子にどう対処するか迷うような時には、この一点から考え直して見ることが有効です。
 例えば、反抗期だからイヤイヤが出ていると思っていたのに、もっと深い子どもなりの理由があるように感じられたり(例: 扱われ方に対する意味のある異議申し立てだったり)、まだ低学年だからと思っていたのに、実は受験などの進路と自分の時間の使い方についてのしっかりした方針を持っていたり、といったようなことがあります。このようなときには、、具体的には『自分の意見を言わせ、真摯に聞いてから対等に話し合う』姿勢、言い換えれば、一人の人間として尊重していることを示す態度で臨むことです。「この子は、…」を「このは、…」と考えるところから始めてみましょう。   (05.2)



  体験からことばへ


 夏休みに入り、旅行や里帰りをはじめ、ご家庭でさまざまな行事を予定されていることと思います。計画段階から、子どもたちを参加させて、主体性や計画性を持たせることの大切さはよく言われますね。ここで、もう一つ忘れてならないのが終わったあとのことです。まさか「絵日記に書いておきなさい」の一言で済まされてはいないと思いますが・・・。
 以前に、今の小学校の「総合的な学習の時間」の原形と言われる奈良女子大付属小学校の合科教育を見学した際も、また、創造性教育で世界的に有名なイタリアのレッジョ・エミリア幼児学校の「プロジェクト」学習について研究した時にも気づかされたことに、体験を再構成して子どもたちの内部で深化させる「学習の契機としての記録の大切さ」があります。ただ記録するのではなく、自由で豊かな話し合いがあり、刺激となる大人の上手な助言もあり、さらに様々に考える場と時間が保証された後で、書き、また口頭で伝える発表を行うことで、一人ひとりが素晴らしい成長をみせてくれます。
 せっかく家族で共有した経験を、みんなでしっかり話し合い、その過程で出てきた疑問や興味のあることを本やインターネットなどで調べてみる、そして、最後に自分なりのまとめとしての記録を作り(=書き言葉としてまとめ)誰かに伝える。まだ文字の書けない幼児でも、親子の対話で体験を言葉として確かめ深めていくことはできますね。例えば、家庭教授で学習してくれているKさん(小5)は、米国から帰国した小1の時以来、自己課題の習慣として、毎夏数十ページにおよぶ絵日記や調べ学習に基づく自作絵本を英文で書くことにチャレンジしているそうです。
 外国語を含め真に高度な言語能力を育むために、体験と対話に満ちた豊饒な夏休みをお子様にプレゼントしてあげてください。
 (04.8)



  少し先の姿を、期待をこめて


 子どもたちへのはたらきかけの基本は、いつも "HERE and NOW"(今、ここ)を原則に、とお伝えしています。できれば一緒に体験し、注意の向かう対象を共有しながら、教えたりほめたり、また叱ることが効果的なのです。
 今回触れたいのは、子どもは今を生きることに一所懸命な存在だからこそ、短期・中期の見通しを伝えてあげることが重要になってくるということです。「目標」ならよく話し合っているというお声も聞こえてきそうです。目標をきちんと理解して常に意識することは非常に大事なことですが、成否が明らかで厳しい面も必要な目標とは別に、「このままやっていったら、○○頃にはこんなことができるね」「半年後にはこうなっていたらいいね」といった今の努力の先にあるものを、わかりやすく楽しみを持てるように伝えていただきたいのです。一歩進んだ自分の姿をありありとイメージできるように。そして、「私(=保護者の方)の期待」という魔法の調味料を絶対に忘れないこと。「あなたがこんなふうになってくれたら、お母さん本当にうれしいな。」
 人間は、大好きな人の期待に応えるために努力をするとき、幸福です。 (04.2)



  『自信』への階段を


 人の話が聞ける、物事に前向きに取り組める、まっすぐに他者とのコミュニケーションができる、自分の意見をはっきり表明できる、そんな力の源となるのが「自信」。ほめて自信を育てよ、とは言われますが、本当に自信が持てるまでにはいくつかの段階が必要です。
 まず、自分のことを肯定的に気持ち良い状態で受けとめられること(自己肯定感)。これは周囲の大人(特に、親)がその子をしっかり受けとめてあげることの積み重ねにより育まれます。どんなに悪いことをしても行いだけをしかり人格を否定するような言葉は使わない、といった点も注意すべきですが、常に、「君のことが大好きだよ」「いてくれるだけでうれしいよ」というメッセージをスキンシップも交えて伝え続けることが実はたいへん重要です。次に「自分にはできる」という感覚(自己効力感)を持たせること。何事もできるだけまかせて(途中で口出しぜずに)やらせて、結果にかかわらず、できたこと、チャレンジしたことを認めてあげるのがポイントです。そして最後に、「きっとできる」というプラスの暗示を全幅の信頼とともに心から伝えてあげること。ただ口先だけでほめるのではなく、子どもの言動をよく観察し、上記を毎日少しずつでも実践できれば、物事に対する姿勢や態度が変わり、それが好結果を生み次のチャレンジにつながる、というように良い循環が起こってきます。
 今日から、お子様の将来のもっと大きな自信のために、始められることがあります!  (03.7)
16:55:43 | natalis | |